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[MOM2706]静岡学園MF清水綾馬(3年)_2度の決定機を阻止!静学に加えた球際の強さと危機察知能力

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静岡学園高MF清水綾馬は完封勝利に大きく貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権静岡県予選準決勝 清水桜が丘高 0-1 静岡学園高 草薙陸]

 苦しい戦いだったが、静岡学園高がクリーンシートで終わることが出来たのは、ボランチのキャプテン・清水綾馬(3年)の存在が大きかった。

「始めは桜が丘さんもトップの選手が僕が居るボランチラインでポジションを取ることが多かったのですが、1点を決めてから2トップになって僕らの2CBのところにポジションを取っていて、どうしてもそこが数的同数になると厳しいので、僕は数的優位を保つために1枚下がりました」。

 1点を獲るまでは攻撃に関わることが出来ていた。13分にFW塩浜遼(3年)がヘッドで先制弾を決めると、流れが一変をした。これを敏感に感じ取った清水は、持ち味である高い危機察知能力を発揮させた。

「でも、ポジションを一つ落とした分、セカンドボールが拾えず、相手に2次、3次攻撃を受けてしまった。後半は特に桜が丘さんの前からのプレスが激しくなって押し込まれてしまった。いつもならウチがボールを握ってペースを奪い返すのですが、選手権予選はやっぱり違った」。

 試合後、こう反省点を口にしたが、清水は前半15分に清水桜が丘高MF古長谷千博(2年)が放った強烈なシュートを、身体を張ってブロック。後半38分にはFW加藤維吹(3年)の強烈なシュートを、再び身体を投げ打ってブロックするなど、相手の決定機を2度潰した。

「自分が他のボランチと違うのは瞬発力とスピードだと思うので、ああいうシュートブロックは持ち味ですし、きょうはそれを出せたと思います」。

 献身的な守備は彼が静岡学園のハイレベルなレギュラー争いを勝ち抜いて行くために必要な『武器』であった。「僕は父親が清水商(現・清水桜が丘)出身というのもあって、小さい頃から清水商のような球際に激しく行くプレーが好きでした。でも静岡学園中に行きたくて、いざ入ってみて、周りが凄く上手くて高校に上がったら、さらに上手い選手が入って来た。それは覚悟していたし、その中で『自分が他の選手と違うところは何処か』と考えた時に、やっぱり球際の強さだったり、危機察知能力だった。それがこのチームに足りない部分だとも思ったので、自分はこれで貢献して行こうと思いました」。

 彼の父・龍蔵さんはGK川口能活(現相模原)と同級生で、全日本ユース(U-18)選手権と選手権優勝の2冠メンバー。選手権では1回戦で怪我をしたことで、それ以降ピッチに立つことは出来なかったが、間違いなく清水商の『黄金期』を築いた選手の1人だった。卒業後は清水エスパルスでプレーしている元Jリーガーでもある。

「そこから清水商は凄く身近な存在で、風間宏矢(現岐阜)さんの代の清水商も好きで、この時は『清水商に行きたい』という気持ちはありました。でも、静学のサッカーを観て、『自分にはこういう技術的な部分が足りない』と思ったので、ここに来ました。それに勉強も頑張りたいと思ったのもありました」。

 自分の意志で静岡学園中の門を叩き、武器を磨きながらも、ボールコントロールなどのスキルをプラスアルファして、攻守の要であり、精神的な支柱でもある存在にまで成長をした。

「最初、静岡学園中に行きたいと伝えたとき、父はびっくりしていたし、周りからも『なぜ清水の息子が静学に行くんだ』という声を聞いたこともあります。でも父は反対をせずに僕の決断を後押ししてくれた。凄く感謝をしています。だからこそ、決勝で勝って、選手権に出場をしたいんです」。

 恩返しは静岡を制し、4年ぶりの選手権出場を決めること。決勝では静岡学園の6年間で培ったすべてをぶつけるべく、清水はIAIスタジアム日本平のピッチに立つ。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校選手権2018

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