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9選手で計9発!青森準決勝から登場の青森山田が大勝で日本一への挑戦スタート

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前半15分、青森山田高はU-19日本代表CB三國ケネディエブスが頭でゴール

[11.15 選手権青森県予選準決勝 青森山田高 9-0 十和田工高 青森県総合運動公園陸上競技場]

 9選手で計9ゴール! 第97回全国高校サッカー選手権青森県予選準決勝が15日に行われ、16年度日本一の青森山田高が今大会初戦で十和田工高と対戦。CB二階堂正哉(3年)の先制ゴールを皮切りに、計9選手がゴールを決めて9-0で大勝した。青森山田は22年連続の全国大会出場を懸けて、17日の決勝で八戸学院野辺地西高と戦う。

 スーパーシードとして準決勝からの登場となった絶対王者・青森山田は、開始2分にいきなりスコアを動かす。MF武田英寿(2年)の右FKを大外から飛び込んだ二階堂が右足で合わせて先制点。10分には札幌内定のU-18日本代表MF檀崎竜孔主将(3年)がワンツーで左サイドを打開し、ゴール前で受けたMFバスケス・バイロン(3年)が後方へボールを落とす。これを右SB橋本峻弥(3年)が右足ミドルでゴールに突き刺して2-0とした。

 さらに15分、武田の右CKを福岡内定CB三國ケネディエブス(3年)が192cmの高さを活かしたヘッドでゴールに叩き込む。今月はじめまでU-19日本代表としてインドネシア開催のAFC U-19選手権を戦い、U-20ワールドカップ出場権獲得に貢献した注目DFもゴール。わずか15分間で3点のリードを奪った。

 この後もMF天笠泰輝(3年)を中心に圧倒的にボールを支配。スピードのあるパスを左右に動かし、相手の守りを揺さぶった。だが、コンビネーションでの崩しが噛み合わないシーンが多発。また、黒田剛監督は「セーフティーを重要視して大胆さが無かった」とキレイに崩そうとしすぎて攻撃の迫力を欠いたことを指摘していた。

 十和田工はGK簗場琉斗(3年)がファインセーブで奮闘。押し込まれる中でもCB盛田蓮樹(3年)らがゴール前に侵入してくる相手選手にしっかりと身体を寄せて食い下がる。ただし、守備では健闘していたものの、相手の圧力の前に奪ってからの1本のパスをなかなか繋ぐことができない。最前線のFW小川龍登(3年)が抜け出しを狙っていたが、高体連を代表する守護神、青森山田GK飯田雅浩(3年)を脅かすまでには至らなかった。

 青森山田は前半終了間際、左SB神田駿斗(3年)のクロスをFW佐々木銀士(3年)が落とし、これをMF武眞大(3年)が右足で決めて4点目を奪った。前半は上手く行かなかった部分が多かったことも確か。それでも、ハーフタイムにコーチ陣からゴールに貪欲に、また楽しくプレーすることをアドバイスされ、主将の檀崎からも「自分たちの初戦で上手くいかないところもあると思うので、楽しもう。そして、精度のところを詰めていくこと」と確認されたチームは後半、大胆さ、勢いのある戦いで得点を重ねた。

 2分にサイドチェンジから檀崎が鋭く左サイドを破り、MFバスケス・バイロン(3年)がゴール。7分にも武田が自ら獲得したFKを左足で決めると、15分、27分にはいずれも檀崎のアシストから交代出場のFW南谷陽介(3年)と神田がゴール。そして、28分には天笠のパスを受けた檀崎がミドルレンジからの右足シュートを左隅に決めて9-0とした。

 貪欲に2桁得点を目指した青森山田だが、この後はシュート精度を欠くなど10点目を奪えず。黒田監督は試合を通しての外したシュートの多さを「個人の責任」とし、より1本への執着心を持ってプレーすることを求めていた。

 まずは2日後の県決勝で勝利することが大前提だが、プレミアリーグEASTで今年も優勝争いを演じている「北の名門」の大目標は、2年ぶりとなる全国制覇だ。インターハイでは2回戦で2-0から昌平高(埼玉)に逆転負け。天笠は「(3点目を狙って)自分が、自分がという選手が多くなってしまった」と語り、三國も「一人ひとり違うことをやりだしちゃって、チームが一体化していなかった」と首を振る。

 注目度の高い檀崎、三國以外にも飯田、天笠ら実力者が並ぶが、レベルの高い個がチームのためにやるべきことを徹底するところが青森山田の良さだ。三國は「一人ひとりがしっかり与えられた仕事プラス自分の技術、プレーを出せば絶対に負けないと思う」と語っていたが、全員攻撃・全員守備を徹底している現在、プレミアリーグでは5試合連続無失点で5連勝中。この日は色々なパターンの崩しにチャレンジしながら9人がゴールを決めた。毎年、1月まで成長を続けるチームは夏を反省し、また悔しさをエネルギーにして自分たちをレベルアップさせてきている。

 日程上、全国で最も遅い選手権予選のスタートを切った青森山田は、「ずっと目標にしていたことなので、最後タイトルを獲って終われるように頑張っていきたいです」(二階堂)、「目の前の一戦一戦大事にして絶対に全国制覇できるようにしていきたい」(天笠)という大目標に一丸となって挑戦。19年1月14日の全国決勝、全国の高校生で最後の2チームとなるまで戦い、再び埼玉スタジアムで輝く。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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