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青森山田に“最後”の挑戦。卒業後別々の道へ進む八戸学院野辺地西の舘ツインズは「少しでも長くできたら」

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王者・青森山田高に挑戦する八戸学院野辺地西高のCB舘睦人主将(左)と左SB舘澄人の舘ツインズ

[11.15 選手権青森県予選準決勝 東奥義塾高 2-3 八戸学院野辺地西高 青森県総合運動公園陸上競技場]

 保育園で一緒に始め、八戸学院野辺地西高で磨いてきたサッカーの、集大成となる戦いを迎えようとしている。CB舘睦人主将(3年)と左SB舘澄人(3年)の双子の兄弟は、八戸学院野辺地西で下級生時からレギュラー。「ここで優勝するために入ってきた」という兄・睦人と、「山田を倒すには野西がいいと思って来た」という弟の澄人は選手権予選優勝、打倒・青森山田高を目指してこの3年間を過ごしてきた。

 ともにレフティーの実力派DF。この日は睦人がその左足キックで2得点に絡み、澄人も攻撃参加から左足クロスやミドルシュートを狙っていた。2人揃ってミスがあったことを反省していたが、ともにフル出場して逆転勝ちに貢献。昨年のインターハイ予選決勝から4大会連続県決勝で敗れている青森山田への“最後の”挑戦権を得た。

 百石中時代、揃って県トレセンに入っていたという実力者たちは自分たちの目標に加え、長男の千海さんも八戸学院野辺地西OBだったことから同校へ進学してきた。千海さんは13、14年度に2年連続選手権予選決勝で青森山田に敗戦。澄人は「双子での挑戦というのもあるんですけれども、ウチの長男も2回決勝に行って負けているので、長男の思いも背負ってやっていきたい」と今回の決勝で長兄の分の思いもぶつけて戦うことを誓う。

 普段の練習から、2人は意見を言い合って個人やチームの課題を改善してきたという。睦人は「悪かった部分とかは強く言ったりしているので、喧嘩になることもあるんですけれども指摘し合っています」と語り、澄人は「言い合わないと自分の言いたいことも伝えられないし、相手からも伝わらないので」と口にする。互いに最も強く意見できる存在であり、信頼している選手だ。その2人は高校卒業後、別々の道に進む予定。今回の選手権は、保育園からともにサッカーを続けてきた2人が同じユニフォームを着て真剣勝負する最後の戦いになるかもしれない。

 睦人は弟について、「ロングフィードは同じく上手いと思います。あまり声は出さない方ですけれども、秘めた気持ちは強いと思います」と評し、澄人は兄について「まず周りが見れてキックが正確。精神的支柱と言っても欠けているところもあるので、自分が見えているのでカバーしています」と微笑む。最終ラインの中央で青森山田に挑む睦人、相手の強力なSHと対峙することになる澄人。彼らが個々の戦いで負けないことも因縁の相手を破るために必要だ。

 この試合のため、ここで勝つために3年間努力を続けてきた。彼らは特別な感情を抱いて、特別な決勝戦を迎えている。睦人は「一緒にサッカーするのは“最後”なので、少しでも長くできたらなと思っています」。すでに県リーグ戦、プリンスリーグ参入戦も終えており、選手権予選で敗れれば高校サッカーから引退。舘兄弟は強大な壁に全力で挑み、“最後”を少しでも先に伸ばす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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