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17歳・久保建英「今後の自分にとって大事になってくる」経験とは…

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U-21日本代表MF久保建英(横浜FM)

[11.17 ドバイカップ第2戦 U-21日本5-0クウェート]

 繰り出された鋭いパスは得点へと結び付いた。U-21日本代表に初招集されたMF久保建英(横浜FM)は、同代表デビュー戦で後半33分までプレーして1アシストの結果を残した。

 横内昭展監督代行は「4-4-2(の2トップ、サイドハーフ)やトップ下とは感覚がちょっと違うかもしれないけど、彼本人はポジティブに捉えていて、俺もやれると思う」と久保を3-4-2-1のシャドーの位置で起用。本人も「基本的にあまりトップ下と変わらないイメージで、特に問題なくやれた」と試合後に語ったように、攻守両面で働いた。

 パスを呼び込んでシンプルにさばいてリズムを生むだけでなく、鋭い突破でボールを運ぶ。後半28分には後方から送られたボールを受けると、「中でフリーで受けたときに簡単に外に散らすより、ちょっと難しいプレーを選択した方がチームにとっても良い」と中央に走り込んだFW上田綺世(法政大)へスルーパスを供給し、上田のハットトリックとなるゴールをお膳立てした。

「上田選手には試合前から動き出しのところを見てくれと言われていて、見えたところに速いパスを通せて良かった」と振り返れば、パスを受けた上田は「普通では出てこないようなパスだったけど、そこを見ていてくれた」と感謝し、「やっぱり自分のやりやすい選手たちだなと感じた」と代表でプレーするチームメイトたちのレベルの高さを実感していた。

 初めてのU-21代表での試合を終えた久保に対し、横内昭展監督代行は「ボールを奪われた瞬間にしっかりとボールをけん制して、ボールを奪うシーンもあった。彼は要求すれば守備も攻撃も両方やれる。初めて呼んで、初めて近くで見たが、そういうのができる選手」と評価。前線から激しく相手に体を寄せ、ボールを奪い切ることもあった久保自身も「走れるようになってきて、無理もきくようになってきた」と守備面での手応えを感じつつ、「90分間、高い出力を出せるようになれば、またプレーのレベルも一つ上がると思う」と自身のさらなる可能性を感じている。

 約2週間前までは、U-19日本代表の一員としてAFC U-19選手権に出場。ベスト4まで進出したチームは来年5月にポーランドで行われるU-20W杯出場権を手に入れ、久保は全試合でピッチに立って世界行きのチケット獲得に貢献した。だが、準決勝で対戦したサウジアラビアに0-2の完敗を喫したことで、改めて感じたことがあったようだ。

「(昨年5月に韓国で行われた)U-20W杯のときに感じていたけど、速いプレスや速いプレーに自分があまりついていけていないときがあった。U-19のサウジアラビアや今日の相手(クウェート)は、一人ひとりのスピードがあって、切り替えも早かった。U-21のチームはどこもスピードがあってアスリート的な選手も増えてくると思うので、そういう相手との経験を多く積むことは、今後の自分にとって大事になってくる」

 韓国のU-20W杯をともに戦ったMF堂安律(フローニンゲン)とDF冨安健洋(シントトロイデン)がA代表に名を連ね、今回のUAE遠征でともに招集されたMF伊藤達哉(ハンブルガーSV)はA代表経験者。一時期とは言え、同じチームでプレーしていた選手たちがA代表に招集されていることで「ある程度、自分の中で一つの基準が作れる」と答える。発展途上の17歳は「このときにこれだけのプレーをしていれば、こうなれる。そういう存在がより身近にいると、自分にとっても良いこと」と答えると、「常に今の自分に満足せずに日々の練習から頑張っていきたい」と上だけを見て歩みを進めていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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