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3度目、7度目の正直…瀬戸内が延長V弾で悲願の初優勝!広島皆実の6連覇阻む:広島

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瀬戸内高が悲願の初出場へ

[11.18 選手権広島県予選決勝 瀬戸内高2-1(延長)広島皆実高 広域第一]

 第97回全国高校サッカー選手権広島県予選決勝が18日に行われ、瀬戸内高が5連覇中の広島皆実高を延長の末に2-1で下し、悲願の初出場を果たした。

 3度目の正直であり、7度目の正直でもあった。3年連続で同じ顔合わせとなった選手権予選決勝で、瀬戸内は広島皆実に2連敗中。さらに2007年、2008年、2010年、2013年も含め、選手権予選決勝に進んだ過去6回すべてで広島皆実に敗れ(PK戦での敗戦も含む)、涙をのんできた。ついに壁を乗り越えての初出場に、安藤正晴監督は「すごくうれしいです」と笑顔を浮かべ、声を弾ませた。

 試合は立ち上がりから、お互いに慎重にボールを回しながら攻め手を探る展開で進んだ。瀬戸内はFW加藤竜大(3年)とFW川岸怜央(3年)、広島皆実はMF田中博貴(2年)のドリブル突破などでアクセントをつけようとするものの、なかなか決定機を作れない。両チーム通じて最初のビッグチャンスは前半28分(40分ハーフ)、瀬戸内のシュートを広島皆実GK植田恵也(3年)が弾き、こぼれ球を加藤がFW中川歩夢(2年)につないだが、中川のシュートは枠を捉えなかった。

 0-0で折り返した後半、均衡を破ったのは瀬戸内だった。後半4分、広島皆実の最終ラインでのパスミスを拾った中川がGKと1対1になり、シュートはGK植田に防がれたものの、こぼれ球をMF吉田寛太(3年)がダイレクトで蹴り込み、ネットを揺らした。

 広島皆実は失点直後に、昨年の選手権予選決勝で決勝ゴールを決めているFW岡本拓海(2年)が、ゴール前の混戦に割って入って左足で狙ったが、クロスバーに当たって決まらず。その後も選手交代を交えながらボール支配率を高め、押し気味に進めたが、ゴール前のシュートが瀬戸内守備陣の懸命のタックルに阻まれるなど、追い付くことができない。

 だが終了直前の後半37分、ついに広島皆実がゴールをこじ開ける。右サイドからエリア内に侵入したMF閑田隼斗(3年)が折り返したボールが、相手DFに当たってゴール前にこぼれ、これに反応したFW前田和也(3年)が右足で蹴り込み、土壇場で1-1とした。

 瀬戸内は今年の総体予選決勝でも広島皆実と対戦し、1-0とリードして迎えた後半終了1分前の39分に追い付かれている。このときはPK戦の末に全国行きをつかんだとはいえ、またしても同じような展開で追い付かれた。10分ハーフの延長に持ち込まれたが、安藤監督は「いつも(終了間際に)やられているので、失点したときの準備はしていて、失点したらこうしよう、と選手たちにも話していた」と振り返り、失点のショックから立て直しての勝利を目指した。

 延長に入って広島皆実が瀬戸内ゴールに迫るシーンが増える中、逆にスコアを動かしたのは瀬戸内だった。延長後半2分、MF佐々木達也(3年)のパスを相手DFにカットされたが、こぼれ球を拾ったMF宮本大貴(3年)が左45度の位置から右足でファーサイドを狙う。「得意ではないけれど、練習していた」というミドルシュートは、鮮やかな軌道でゴール右に決まった。

 その後は広島皆実も残り2つの交代枠を使い切って再び同点を狙ったが、瀬戸内が粘り強く守り、そのまま2-1で逃げ切った。タイムアップの瞬間、瀬戸内は控え選手も全員がピッチ内へと飛び出し、出場メンバーとともに歓喜を爆発させた。

 瀬戸内はこれまで、キック&ラッシュを主体としたスタイルで戦ってきたが、今年はパスを丁寧につなぐスタイルへの挑戦を続けていた。安藤監督は「いままでのような勢いと頑張りだけでなく、きちんとしたサッカーをやり抜いて、役割を決めて、チームで戦うことに徹した」と語り、「それが、この良い結果につながったと思う。選手たちが冷静にやってくれた」と称えた。

 初めての挑戦となる選手権。安藤監督は「課題はたくさんありますが、伸びしろがあり、まだまだ成長できるチーム。ボールをつなぐ技術や、2年生は体の強さも伸びると思う。そのあたりを鍛えて臨めれば」と語り、冬の大舞台へのパワーアップを誓っていた。

(取材・文 石倉利英)
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