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終了間際に失点も「予想通りの展開」。落ち着いて試合進めた東山、PK戦の末に22年ぶり選手権へ:京都

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京都を制した東山高

[11.18 選手権京都府予選決勝 東山高1-1(PK5-4)京都共栄高 西京極]

 第97回全国高校サッカー選手権京都府予選決勝が18日に行われ、東山高が1-1で突入したPK戦の末に京都共栄高をPK5-4で下し、22年ぶり3回目の選手権出場を決めた。

 今年の東山は新人戦、インターハイ予選で優勝。この日は、府のタイトル独占がかかった大一番だったが、選手に緊張した様子は見られない。「アップの時にすごい応援を聞いて、改めて“やらなきゃ”とスイッチが入った」(DF井上竜稀、3年)。立ち上がりから勢いよく攻め込むと、前半4分にはMF中山翔(2年)が右サイドを突破。ゴール前に上げたクロスをFW久乘聖亜(3年)が頭で合わせて、東山が先制した。

「中山クンが上手いこと上げてくれたので、自分は合わせるだけだった。ほとんど中山クンのゴール」。そう久乘が振り返る一撃で幸先の良いスタートを切った東山は、前半10分に井上のクリアボールが相手DFの背後に落下。素早く反応した久乘がマークを外してゴール前まで持ち込んだが、カバーに入ったDF谷泰成(3年)に阻まれ、ゴールは奪えない。以降も中山とMF宇賀神拓世(3年)によるサイド攻撃から見せ場を作ったが、リードを広げられないまま前半を終えた。

 東山は、追加点が奪えないながらも前半の出来は決して悪くなかった。だが、後半から流れが一変する。京都共栄は内藤翔平監督から「僕が相手の監督で、全国がかかった試合なら1-0で良いと考える。相手はリスクをかけなくなるので、怖くても僕らがボールを持たないとひっくり返せない」という指示を受け、落ち着いたボール運びから、FW内田椋也(3年)とMF島村瑠維(3年)がサイドを仕掛けた。6分には、左でボールを持った内田が強引にシュート。直後にもMF荒川聖志(2年)が華麗なドリブルから、ゴール前に低いクロスを入れたが、井上にクリアされた。

 全体の運動量が落ちた東山も、「守り抜くのではなく、追加点を狙いに行く」(福重良一監督)ため、MF森田勇真(3年)とFW大八木陽一(3年)を投入したが、我慢の展開は変わらない。勢いに乗った京都共栄が攻め続けると、後半38分にはDF久保雄介(3年)が右サイドからゴール前にクロスを展開。中央で跳ね返されたが、反対サイドに流れたボールがFW飯野颯(2年)の下にこぼれた。飯野が冷静に放った右足シュートは、DFに当たりながらゴール右上に突き刺さり、土壇場で試合は振り出しとなった。

 目の前まで迫った選手権が遠ざかる形となった東山だが、「予想していた通りの展開。簡単に勝てないし、1-0でも良い。最悪、PKでも良いと選手には話していた」(福重監督)通り、苦しい試合になるのは想定内。選手に動揺も見られず、「連続失点しないよう試合を落ち着かせて、延長戦に持っていこうと皆で話し合った」(GK荒木光汰、3年)。

 東山は、狙い通り落ち着いた守りで追加点を与えず80分を終えると、延長戦でも手堅い守りでチャンスを与えず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。ここでも東山の選手は焦りの色は見られない。1人目のキッカーが外した京都共栄に対し、東山は「夏の結果(インターハイ3位)のプライドがある。負けるはずがないと思っていた」という指揮官の信頼に応え、5人全員が成功し、PK5-4で勝利。苦しみながらも、悲願を達成した東山の選手たちは優勝の喜びに酔いしれた。

(取材・文 森田将義)
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