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桐生一との激闘制す!王者の重圧乗り越えた前橋育英が全国までの「時間」得る

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“上州の虎”前橋育英高が全国連覇に挑戦する

[11.18 選手権群馬県予選決勝 前橋育英高 2-1 桐生一高 正田スタ]

 前年王者・前橋育英が全国へ! 第97回全国高校サッカー選手権群馬県予選決勝が18日に行われ、昨年度日本一の前橋育英高が後半アディショナルタイムにFW室井彗佑(3年)が決めた決勝点によって桐生一高に2-1で逆転勝ち。5年連続22回目の全国大会出場を決めた。全国大会の組み合わせ抽選会は19日に行われる。

 プレッシャーを乗り越え、前橋育英が全国に戻ってきた。選手権覇者として注目を集め続けてきた1年間。インターハイ初戦敗退など悔しい経験もしてきた前橋育英だが、必ず選手権に出場しなければならないという思いを持ってきた。苦しみながらもそれを成し遂げた選手たち。主将の右SB若月輝(3年)は「出ないのに優勝旗を持っていく。それだけは避けたかった。見えないプレッシャーが本当に大きかった。まずは一つクリアです」と語り、山田耕介監督は彼らを「選手たちは相当プレッシャーを感じていたと思います。そのプレッシャーに負けずに頑張った。逞しくなったと思います」と讃えていた。

 今年、新人戦決勝や10月のプリンスリーグ関東で前橋育英に勝利している桐生一は、5バックで重心を後ろに置きながら、攻撃時はリベロのDF中野就斗主将(3年)が前線に上がる変則システムで戦った。序盤は非常にピリピリした空気の中での攻防戦。後方からボールを繋いで攻撃を組み立てる桐生一は、仙台内定MF田中渉(3年)が余裕のあるボールキープから左足でサイドへ展開し、前橋育英は松本内定FW榎本樹(3年)の頭やスペースへ抜け出す室井へボールを入れて相手にプレッシャーをかける。

 15分頃から徐々に前橋育英のペースになった。新潟内定MF秋山裕紀(3年)が相手のキーマン・田中へ鋭いアプローチを見せるなど、前橋育英は寄せの速さで桐生一のポゼッションを封鎖して速攻。右の近藤友喜(3年)と左の森隼平(3年)の両SHがサイドの攻防戦で主導権を握っていたこともあり、その突破やコンビネーションによる崩しからシュートチャンスを作り出していた。
 
 前橋育英が攻守に渡ってその力を発揮し始めていたが、桐生一も負けていない。守備範囲広く、相手との接触を怖れずに身体を張るGK杉浦駿介(3年)中心に集中した守りを見せる。そして、37分にはFW小澤謙登(3年)がDFの股間を通すドリブルから右足シュートを打ち込んで応援席を沸かせていた。

 前半を我慢強く0-0で折り返した桐生一が、この日最初のCKでスコアを動かす。6分、田中の右CKをファーサイドの小澤が折り返すと、相手DFの前に飛び込んだ中野が右足で先制ゴール。ベンチへ向けて走った中野中心に青の輪ができた。

 だが、前橋育英は14分、この日好フィードを続けていたCB山原康太郎(3年)が右サイド後方から斜めのボールをPAへ蹴り込む。前半から「(桐生一が)嫌がっていた」(山田監督)という背後を狙う攻撃。これにタイミング良く反応した室井がPKを獲得し、自ら右足シュートを左隅に決めて同点に追いついた。

 後半、桐生一は高い位置でボールに絡む田中のスルーパスなどからサイドを攻略。18分には左サイドを抜け出した小澤がゴール方向へ切れ込み、ラストパスからFW小池泰誠(3年)が決定的な右足シュートを放つ。その後も田中と小澤のコンビでチャンスを作り出す桐生一は27分にU-17日本代表MF若月大和(2年)を投入。相手DFの前に鋭く潜り込む若月が突破、シュートで前橋育英ゴールを脅かした。

 だが、前橋育英はゴール前での集中力が高く、簡単には決定打を打たせない。逆にSB若月のクロスを榎本が頭で合わせたほか、アジリティー高い室井の仕掛けなどから勝ち越し点を狙う。

 熱戦に決着をつけるゴールは後半アディショナルタイムに生まれた。前橋育英はショートパスを繋ぐと、右サイドで交代出場MF長澤壮竜(3年)からのパスを受けた若月が右足でPAへボールを入れる。これを受けた室井は一度失いながらもスライディングでボールを奪い返して反転。そして右足シュートをゴール左へ蹴り込んだ。

 この日2点目、劇的な勝ち越しゴールを決めた室井は大歓声の中、スタンドへダッシュ。勝利に大きく近づいた前橋育英イレブンがスタンド前、ピッチ内で喜びを爆発する。桐生一もすぐに反撃するが、残された時間が短すぎた。昨年と同じく終了間際の得点によって前橋育英が2-1で勝利。群馬5連覇を達成した前橋育英が全国大会までの「時間」を得た。

 秋山は「時間が大切というチームのスローガン。時間が自分たちにとって大事でした。(高橋)尚紀、(岡本)悠作、(石井)陽向が怪我してしまって選手権前は痛かったんですけれども、(全国大会までの)時間を作ることができたので、また競争して、全国ではまたレベルアップした育英を見せられたらなと思っています」と語った。

 主力3人が復帰するまでの「時間」、競争をする「時間」を得た前橋育英。一時先発から外れた「時間」に考え、成長するきっかけを得ている若月は「単純に試合を外から見て感じることもあると思いますし、彼らが入ってきて競争が増して活性化すると思うので、そこはチームとしてさらにレベルアップするチャンスかなと思います」と期待した。

 室井は「去年日本一取ったんですけれども去年は去年なんで、自分たちの代で日本一取れるように頑張りたいです」。プレッシャーを乗り越え、仲間たちと「高校サッカーができる時間を伸ばす」(若月)という目標をクリアした前橋育英。新たな競争から這い上がってくる選手を含めて進化し、全国連覇に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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