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前橋育英は宇和島東と初戦。王者は今年の「カタチ」で連覇に挑戦

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健闘を誓い合う前橋育英高DF若月輝主将(左)と宇和島東高のゲーム主将・MF立木耕貴。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 今年は今年の「カタチ」で連覇に挑戦する。前回大会で初の日本一に輝いた前橋育英高(群馬)は、第97回全国高校サッカー選手権の第1シードとして2回戦から登場。19日の組み合わせ抽選会の結果、宇和島東高(愛媛)と初戦で戦うことが決まった。

 宇和島東のMF立木耕貴(3年)が「(前回王者との対戦を)本当に楽しみにしています。粘り強い守備からのカウンターやセットプレーから勝てるようにしていきたい」と語ったのに対し、前橋育英の右SB若月輝主将(3年)は「昨年王者ということで(宇和島東は)絶対に立ち向かってくると思う。その勢いに負けないで、自分たちのサッカーをどれだけできるかだと思うので、初戦は気持ちで負けないようにしたい」と気持ちで受けることなく戦うことを誓った。

 前回大会の前橋育英は準優勝した16年度から右SB後藤田亘輝(現青山学院大、18年日本高校選抜)、CB松田陸(現G大阪、18年U-19日本代表候補)、CB角田涼太朗(現筑波大、18年日本高校選抜)、左SB渡邊泰基(現新潟、18年U-19日本代表候補)と4バックがそのまま残り、その強固な守備をベースに多彩な攻撃を繰り出して頂点まで駆け上がった。

 今年のチームで昨年度選手権の先発を務めた経験があるのは、FW榎本樹(3年)とMF秋山裕紀(3年)の2人だけ。他にも交代出場した選手はいたが、メンバーは1年前から大きく入れ替わっている。その中で若月は「メンバーが違えばサッカーも全く違うので、連覇よりもそっちの方に注目して欲しいですね」と語る。

 昨年とチームの色は違う。だが、昨年のチーム力に近づけている実感がある。若月は「去年は安定した守備から攻撃に繋がったりしたんですけれども、今年は前線にメンバーがいるので、どんどん前に出ていくとか、セットプレーと自分たちのカタチがだんだん出てきている」。榎本とFW室井彗佑(3年)の2トップや近藤友喜(3年)と森隼平(3年)の両SH、攻撃陣をコントロールする秋山、ほかにも怪我で予選を欠場したFW高橋尚紀(3年)やFW石井陽向(3年)ら充実したアタッカー陣。今年は今年の良さ、「カタチ」を発揮して、群馬県予選を突破し、プリンスリーグ関東でも2位につけている。

 チームの心の支えになっている部分も、昨年の自信とはまた違うもの。若月は「去年優勝できたのは前の年に決勝まで行ったというのが大きかったと思います。今年で言ったら県大会でメンバーに入れないヤツがいたり、怪我で出れないヤツがいて、そいつらを全国に連れて行くことが気持ちの支えでした。そういう出れなかったりとか、怪我しているヤツの気持ちを背負って戦えば全国でも良いところまでいけるんじゃないかと思います」。選手権予選のテーマは「時間」。18日の県大会決勝で勝利したことにより、怪我している仲間や大学受験で不在だった仲間、スタンドから全国大会でのメンバー入りを目指す仲間に競争する「時間」を与えることができた。

「時間」を得るために必死に戦い、勝ち抜いた県予選。山田耕介監督は「これからどう成長してくれるか、楽しみ」と語っていた。全国までの「時間」で成長を遂げ、今年の団結力、一体感も持って日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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