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樋口監督ラストイヤー、四中工の悲願…松本内定DF山本龍平「単独優勝目指します」

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四日市中央工の山本龍平主将(右)と秋田商の鈴木宝主将(左)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

 伝統校が選手権に還ってきた。3年ぶりに三重県を突破した四日市中央工高の樋口士郎監督は、「伝統のある四中工が3年連続で負けられない」と33回目の選手権出場権獲得に安堵の表情をのぞかせた。1972年度の初出場以来、四日市中央工はこれまで3年連続で選手権出場を逃したことはなく、その伝統の重さを感じさせた。

「攻撃のチームだと思いますが、不安定なチームだった。そこに山本の成長があって、我慢することができるようになったので、今回出場できたと思います」。現在のチームとしては選手権、総体通じて初の全国。指揮官はチームの成長に目を細めた。

 樋口監督から名指しで評価されたのが、主将のDF山本龍平(3年)。J2優勝をはたした松本山雅FCへの来季入団が内定している今大会注目の選手だ。「チームとして苦労して……。インターハイに行けなかったのは、本当に悔しかったです」。地元・三重で開催された総体では、県予選敗退。総体への道は閉ざされた。「選手権は絶対に行かなければいけないという危機感を持った」と言う山本は、「練習からより厳しさを出していくこと。ひとり一人が責任感を持つこと。そこを変えました」とキャプテンとしてチームに変化を求めた。迎えた選手権三重県予選では、5試合27得点と持ち前の攻撃力はそのままに、全試合無失点と守備も安定した。「無失点でこられているので、守備の面もいいところをしっかり出して、単独優勝目指したいです」。監督も信頼を寄せるセンターバックは、きたる選手権を待ち望んでいる。

 現役時代は、四日市中央工の選手として選手権準優勝を果たしている樋口監督は、1991年にコーチとして母校のサッカー部に赴任、その4年後から監督に就任した。以降24年にわたって四日市中央工監督を務めているが、今季度限りでの退任が決定している。監督としての選手権最高成績は、浅野拓磨(ハノーファー)らを擁した2011年度の準優勝。コーチ時代の1991年度には、「四中工三羽烏」(小倉隆史、中西永輔、中田一三)を中心に戦い、帝京高との両校優勝を成し遂げた。しかし、四日市中央工単独での優勝はまだない。「単独優勝が四中工のOBの悲願です。出るからには目指してやりたいです」と樋口監督は語気を強めた。

 山本ら3年生だけでなく指揮官にとっても“最後の選手権”。「まだ感傷めいたことはないですね。周りは気を遣ってくれますが(笑)。とにかく楽しみです」と笑顔を見せた。

 監督の立場としては15回目となる選手権を前に、「初戦がすべて」と強調する樋口監督。初戦は歴代最多44回の出場を誇る秋田商高(秋田)と激突する。

(取材・文 奥山典幸)
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