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悲願の日本一へ一歩を踏み出すのは?1回戦でインハイ準V・桐光学園と“公立の雄”大津が激突!!

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健闘を誓い合う桐光学園高CB望月駿介主将(左)と大津高CB福島隼斗主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

 第97回全国高校サッカー選手権は初戦から好カードが続出する組み合わせとなった。中でも注目はインターハイ準優勝の桐光学園高(神奈川)と同8強・大津高(熊本)との1回戦だろう。19日の組み合わせ抽選会では先に組み合わせ番号「15」へ入っていた桐光学園の隣、「16」を大津CB福島隼斗主将(3年、湘南内定)が引き当てる形で決定。その瞬間、会場が一際沸いた。
 
 ともに全国制覇を狙う両主将は苦笑い。福島が「(抽選会に)行く前はみんな、青森山田とか有名なチームとやりたいと言っていた。自分が入ってしまったので最初はちょっと驚いたけれど、西川潤というやりたい選手もいるのでとても楽しみだと思いました」とコメント。一方の桐光学園CB望月駿介主将(3年)は優勝候補同士の対戦は避けたかったようだが、「そういうことを言っていられない。いずれやらないといけない相手だと思うので、やりがいはあるなと思います。相手が強豪なので、チームもすごく燃えると思う。まずは全員で大津戦に照準を合わせてやりたい」と応じた。

“公立の雄”や“育成の大津”のキャッチフレーズを持つ大津は、強力なチームだ。高校屈指のDF福島をはじめ、10番MF水野雄太(3年)とCB吉村仁志(3年)のU-18日本代表コンビやMF松原亘紀(3年)ら各ポジションに実力者の名が並ぶ。注目世代の現3年生は昨年からほぼ全てのポジションで先発を占め、2年間かけてチームを作り上げてきた。2月の九州新人戦を制し、今夏のインターハイでは前回の選手権覇者・前橋育英高(群馬)に3-0で快勝。その力が今大会上位にあることは間違いない。

 昨年、一昨年はいずれも県予選で惜敗。注目世代にとっては、今回が初の選手権となる。待望してきた舞台での戦いへ向けて、福島も「本当に1年生の時は簡単に全国大会に出れるという甘い気持ちがありました。なかなか出れなくて、最後(熊本県内)3冠も獲って、憧れとしていた選手権なので、そこは強い気持ちを持ってやりたい」と意気込んでいる。

 対戦する桐光学園には「非常に怖い選手だと思う」と分析するAFC U-16選手権MVPのU-16日本代表FW西川潤(2年)がいる。今年、フェスティバルで対戦した際は西川に1チャンスで決められて2-2ドロー。それだけに、西川を封じる力や、「(試合の途中で慣れたが)セカンドボールの対人の強さはびっくりするくらいあった」という桐光学園を上回ることをこれから求めていく。

 一方の桐光学園はMF中村俊輔(現磐田)を擁した96年度選手権で準優勝するなど、激戦区・神奈川を代表する名門校。望月は大津の印象について「守備も攻撃もタレントがすごく揃っているという印象です」と語る。インターハイでは望月と内田拓寿(3年)の両CBを中心とした堅守から、“スーパーエース”西川の攻撃力やセットプレーの強さなどが炸裂。同校にとって初のインターハイ決勝進出、準優勝を成し遂げた。こちらも攻守にタレント並ぶ好チーム。インターハイでその力を示している。

 山梨学院高(山梨)との決勝も西川のゴールで先制。だが、1-0で迎えた後半アディショナルタイムに追いつかれ、延長戦で勝ち越された。あと数分のところで掌から落ちた日本一。その悔しさは忘れていない。望月は「本当に夏は天国から地獄に一気に突き落とされたくらい、悔しい思いをしました。3年間を通して悔しい思いは十分にしてきた。高校最後の大会ですし、ここに懸ける思いは本当に強いので、初戦大津なんですけれども、勝ちにこだわってやれればいい」と力を込めた。

 自分たちの目標は全国制覇。入りさえ失敗しなければ頂点を勝ち取る力があると望月は感じている。「全国のFW陣に負けないくらい守備とかも組織化されていたり、個も強い。堅い守備からの前線は突破する力もある。入りがとにかく鍵を握っていると思う。今年のチームは波に乗れば全国制覇する力があると思うので、入りを意識してやりたいと思います」と注目対決を見据えた。

 ともに、一日でも長く仲間たちと戦いたい、もっと強くなりたいという思いを持って日々を過ごしてきた。大津の福島は「土曜日の試合(熊本決勝)でも『もっとやりたい』という言葉が出ていた。全国大会は1回戦で負けたらそこで終わってしまう。長くやりたいですね」と語り、桐光学園の望月は「(勝ち上がるため)これから1か月もあると考えて、もっとチームを良くしていきたい」と語った。2つの注目校はいずれも全国で無冠。12月31日にニッパツ三ツ沢球技場で開催される1回戦で、悲願の日本一へ向けて勢いに乗るのは、果たしてどちらか。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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