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14年の本格強化開始から積み上げて5年目で初出場。龍谷は「一番上」目指して全国を戦う

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龍谷高DF黒木聖也主将は「全国制覇」を目標に掲げた。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 第97回全国高校サッカー選手権には4校の初出場校が出場する。佐賀県代表の龍谷高は、夏冬通じて初の全国大会出場だ。福岡、草津(現群馬)、長崎などでプレーした経歴を持つ太田恵介監督の指導の下、14年の本格強化開始から5年目で掴んだ初の全国切符。19日の組み合わせ抽選会後、指揮官、DF黒木聖也主将(3年)は「全国制覇」を目標に掲げた。

 個々における力は、歴史を変えた世代よりも昨年の方があったかもしれない。ただし、年々積み重ねてきたものによってチームの「土台」が築かれ、力になっていることは間違いないだろう。太田監督は「去年のチームで勝てないならば勝てないかなと思いましたけれども、逆に力が無い方が一体感が出ている感じがあります」と分析する。

 強化1年目の14年、1年生主体のチームで強豪を撃破し、強化3年目には九州新人大会初出場を果たすなど注目された一方、全国までの道のりは簡単なものではなかった。悔しい経験を糧に一つ一つ力をつけて、より一体感のあるチームに。そして、「交代もそうだし、選手の調子もこっちがなんとか上手くやらせようというよりは、ぐっとこらえて様子を見るような作業ができるようになった」(太田監督)という今年、エースFW竹島海太(3年)が右足を骨折するというアクシデントがありながらも、試合で伸び伸びとプレーする選手たちが一体となって穴を埋め、全国への扉を開いた。

 平日、寮に泊まり込んでいるという太田監督は、ピッチ内外で選手と個別に会話する機会が増加。共通理解する部分が増えている。「人間力を作るというところを最後まで僕は変えたくない。サッカーだけできれば良いわけではない」とピッチ外のところも求め、それに応えた選手たちがピッチへ。彼らを信頼して起用するからこそ、我慢して選手の判断に任せる部分が増えている。それが彼らの良さをより引き出しているようだ。

 県予選決勝では全国出場10回の名門で、昨年度の全国大会開幕戦(対関東一高)で勝利している佐賀東高と対戦。MF寺坂洸希(3年)やMF横山太一(3年)らの活躍に加え、「ピッチ内だったら、粘り強い守備です。(ピッチ外では) 例年よりも強い気持ちを持っているところです」(黒木)というチームの特長を発揮して3-1で勝利した。全国大会では竹島も復帰する見込みだけに、初の全国大会でどのような戦いを見せるか楽しみだ。

 太田監督は全国大会へ向けて「やるからには一番上を目指したい」ときっぱり。「(目標が)ベスト8で、ベスト4でというのはあんまりない。謙遜してもしょうがないですし。でも、やっぱりワクワクしますよ」と笑う。黒木も目標について「全国大会優勝です。優勝を掲げないと意味ないと思っているので」と宣言した。やるからには頂点が目標。初めての経験となる選手権までの1か月半の準備期間でさらに成長し、一体感を高めて全国を戦う。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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