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創部14年目の静岡新王者。浜松開誠館は名を広め、扉をこじ開ける大会に

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抽選会で意気込みを語る浜松開誠館高のCB山田梨功主将。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 静岡県の初出場校、浜松開誠館高は19日に行われた第97回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会の結果、昨年度8強の長崎総合科学大附高(長崎)と初戦(2回戦)を戦うことが決まった。

 抽選を終えたCB山田梨功主将(3年)は「長崎総科さんは伝統のある学校なので、自分たちも準備して臨みたい。(長崎総科大附の印象は)粘り強さや運動量のあるチーム。そこは自分たちも譲れない部分があるので、そこでしっかり主導権を握って、開誠館らしいサッカーができたらいいと思っています」と力を込めた。

 長崎総科大附はロングボール、ロングスローなどを活用したダイナミックな攻守が特長。加えて前線には湘南内定のU-18日本代表MF鈴木冬一(3年)がいる。静岡を代表するCBでもある山田は「自分の実力を試すには良い場ではあると思うので、自分が責任感を持ってやりたい」と語り、“要注意人物”を封じて白星を引き寄せることを誓っていた。

 浜松開誠館は創部14年目で悲願の初出場。清水市立商高2年時に選手権優勝し、その後清水などでプレーした経歴を持つ青嶋文明監督の指導の下、静岡県内、東海地区で存在感を放ってきた。12年からプリンスリーグ東海に所属し、毎年のように上位争い。創部9年目の14年新人戦で初の静岡制覇も果たした。だが、全国大会出場を懸けたインターハイ予選や選手権予選では静岡学園高や藤枝東高、清水桜が丘高の壁を破ることができず。選手権予選では過去10年で8度静岡8強入りを果たしていたが、準決勝や決勝で敗れ続けてきた。

 そのチームが悲願の全国初出場。指導者として選手権に戻ってきた青嶋監督は、国見高監督時代などに数々の全国タイトルを獲得してきた名将・小嶺忠敏監督との対戦について「ありがたいですよね。全国大会に出なければそういう経験というものは積ませて頂けないのでそういう部分では全国大会だなと感じました」と微笑んだ。

 静岡県西部地区のチームとしては77年度の浜名高以来、41年ぶりとなる全国大会出場。青嶋監督は「中高一貫ですし、地域の選手、中体連の選手がいっぱい出場しているので、しっかり育てて大きな舞台を経験させるのは一つの目標です。静岡の中でもあまりサッカーが強くない地域ですけれども、そういう地域でも一生懸命練習すればチャンスがあると示したいですね」と語った。

 MF竹内涼(現清水)やDF松原后(現清水)らJリーガーを輩出しているが、チームの全国的な知名度はまだまだだと実感している。それだけに山田は、「応援だったり凄いとSNSで言われたりするけれど、全国に出ていなくてどういうサッカーするのかというのはあまり見せられていないので、しっかり自分たちが全国大会で開誠館の名前を広げられるような大会にしたい。初出場なんですけれども、全国制覇目指してやってきたので、一戦一戦大事になると思うけれどもそれを目指してやっていきたい」と誓う。

 静岡MVPの山田、同得点王のMF弓場堅真(3年)、GK菅沼一晃(2年)、MF川畑陸(3年)、FW岡島温希(3年)ら実力者を擁し、粘り強い守備と運動量、相手を見極めてボールを動かす部分も特長とする静岡の新鋭が初の全国で「浜松開誠館」の名を広めることができるか。現在、静岡県代表は史上初めて3年連続初戦敗退中。また、07年度の藤枝東を最後に4強からも遠ざかっている。「閉じてしまった色々な扉をこじ開けられるようにチーム一丸となって挑戦したいですね」(青嶋監督)。王国・静岡復活も目指して初の全国大会に挑む。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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