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[清宮×外池]早稲田大優勝記念特別対談vol.2 相馬事件

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10月20日の国士舘大戦で相馬が激しいタックルを受けて一時騒然となる場面があった

 今年の早稲田大を象徴する選手に相馬勇紀(4年=三菱養和SCユース)がいる。今季の関東1部アシスト王は、夏場、来季の入団が内定している名古屋グランパスに特別指定選手として参加。起爆剤となり、チームの低迷を救った。しかしそんな大黒柱を巡って、ある日、“事件”が起こっていた――。

▽vol.1スローガン『ドライブ』誕生

<相馬事件>

外池 「相馬は大学の中でも注目されている花形選手。シーズン終盤、強化指定選手というシステムで10月19日金曜日の夜に名古屋グランパスでJリーグの試合に出て、翌日土曜日の大学でリーグ戦の国士舘大戦に出て、両方で結果を出すということをしたんです。でも大学のリーグ戦で相手が相馬を止めれば名が上がるじゃないですけど、結構みんな当たりを強く来るんです。それで国士舘大戦の途中、アフター気味にファウルを受けることがあって、(相馬が突っかかって)試合中に騒然となったんです」

清宮 「おー、それで?」

外池 「大勝した試合だったんですけど、相馬もふてくされてて。でも試合後にスタンドにいる選手を指名してしゃべらせるということをさせているんでが、その日はその試合で初めてメンバーから外れた小笠原学が話すことになったんです。そこで相馬に向かって『お前のあのプレーはあり得ないから。お前があれで退場にでもなったらどれだけチームに迷惑かけることになるか考えたのか。俺は許さないから』って言い放ったんです」

清宮 「いいねー。今年のチームじゃないとということだろうね。結果が出ないチームだと、そういう発言をする場もないし、そもそも発言が出ない」

外池 「本来であれば相馬は連日の試合で活躍して褒められてもいいと思うんです。でも相馬自身も注目度が上がっている中で、そういうことを言ってくれる仲間がいることで地に足をつけることが出来たんじゃないかなと思います。だから僕は嬉しかったというか、そこで優勝できるようなチームってこういうチームなんだろうなと思いました」

清宮 「そういう『場』を作るのが監督の仕事なんだよな。それが外池くんの仕事だよ。選手が主役であるのは当然なんですけど、いろいろな『場』を作ってあげられるかというのが、出来る監督と出来ない監督の差なんだと思うよ」

国士舘大戦の試合後。外池監督はこの試合の“事件”で優勝を確信したという


<主務、学連の選手が出場>

清宮 「今年は対戦相手によって戦い方を変えていくわけ?」

外池 「メンバーはちょこちょこ変えますね。去年まではメンバーは15、6人で動いていたんですけど、今年は試合に出ただけでも35、6人いると思います」

清宮 「確かに俺がワセダの監督をしていた頃も、試合に出した選手が多いことを自慢していた時期があったな。去年、同じようなメンバーでボロボロに負けていったチームが、戦術の変更だけである程度変わるんだよね」

外池 「今年に限って言えば主務の秋葉遼太(4年=駒場高)と、ア式を代表して学連(リーグ運営)に行って仕事をしている榎本大輝(4年=早稲田実高)をリーグ戦に出したことがありました」

清宮 「同じことをやったな俺も(笑)」

外池 「ある種、競技者としては諦めないといけないという立場の2人だったんですけど、後期の開幕で上手くいかなかった時に、チーム全体に前期で2位法政大に勝ち点差8をつけたことによる慢心があることに気づいたんです。うちだけが何となくいい感じだったよね、という空気が蔓延していたので、一回ぶっ壊さないといけないなと」

清宮 「良い監督だね!」

外池 「そこで『一回ぶっ壊すよ』と本当に言って、全部フラットに紅白戦をやった時に浮上してきたのが秋葉だった。戦うという姿勢があるかないかでメンバーを決めたので、空気感が変わったんです。榎本は10月20日の国士舘大戦で出したんですけど、5-1という状況だったんですが、そこから6-1、7-1に出来る状況に持って行ける選手をと考えたときに、1分1秒を大切にする選手じゃないといけないなと思ったんです」

清宮 「俺も同じような話をすると、ワセダを辞める年(2005シーズン)に同じように主務を使いだしたんだよね。主務というのは3年生で競技者としては引退して、4年生はマネジメントをやってという歴史があったんだけど、そもそもの役割分担を変えた。やり方を変えることはいくらでもできるんだと示すいい例だったと思っている。結局は『愛』、監督は『愛』がないと出来ないんだ」

外池 「恥ずかしくて学生にも言っていないんですけど(笑)、実は清宮さんとの出会いで一番インパクトがあったのは、監督に必要なことって何ですかと聞いていた時に、『愛』だよって言われたことなんです。それであることをしようと決めたんです」

学連で仕事をする榎本大輝を試合で起用した


vol.3に続く――

●清宮克幸
1967年7月17日、大阪府大阪市出身の51歳。2001年に母校早稲田大ラグビー部の監督に就任。2年目の03年に13年ぶりの大学日本一に導く。その後、トップリーグのサントリー、現在指揮をとるヤマハ発動機でも監督として日本一に輝く。北海道日本ハムファイターズでプレーする清宮幸太郎は長男。

●外池大亮
1975年1月29日、神奈川県横浜市出身の43歳。早稲田大を卒業後、1997年に平塚(現湘南)に入団。その後、横浜FM、大宮、甲府、広島、山形、湘南と渡り歩き、2007年を最後に現役を引退。引退後は電通に就職。現在はスカパーに籍を置きながら、早稲田大ア式蹴球部の監督。

(構成 児玉幸洋)
●第92回関東大学L特集

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