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[清宮×外池]早稲田大優勝記念特別対談vol.5 大学サッカーの位置づけ

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笑顔で握手をかわす外池監督(左)と清宮氏

 今年7月に閉幕したロシアワールドカップでは優勝したフランス代表のFWキリアン・ムバッペが19歳で活躍したように、世界のサッカー界は若年化に拍車がかかっている。国内でも、大学サッカーに在籍している選手が、特別指定選手制度の変更により、4年間を待たずしてJリーグに流れる懸念もある。そんな流れの中、どうやって大学サッカーの存在感を示していけるのだろうか。

▽vol.1スローガン『ドライブ』誕生
▽vol.2相馬事件
▽vol.3vol.3 「90人面談」「パワハラ問題」
▽vol.4監督に求められるセンス

<大学サッカーの位置づけ>

外池 「日本にはJリーグに上がれなかった選手が、大学に来るという構図があります。日本のシステムは世界の若年化の潮流と反するという意見がありますが、僕はそもそもそこを合わせる必要はないと思っています」

清宮 「Jリーグの控えでいるより、大学の方が伸びると証明すればいいんじゃないの?」

外池 「まさにその通りだと思います。特別指定選手の規定が変わったことで、大学4年間在籍しない選手が出てくる可能性が出てきていますけど、大学は4年目に意味がある。今年夏に名古屋で活躍した相馬勇紀(4年=三菱養和FCユース)が、去年もしJリーグに行っていてもそんなに活躍できなかったと思います。僕が見ている7、8か月でものすごく変わったので」

清宮 「あと結局は試合に出なかったら何の意味もないよね。練習試合に出ていたって仕方がないんだから。本当に1軍で試合に出られる選手以外は大学に行けばいいんじゃないかな」

外池 「逆に僕はJリーグで出れない選手を大学で引き取ってもいいんじゃないかと思っているくらいなんです。大学の競技力アップにも繋がるし、人気にも繋がる。選手にとっても次のキャリアに繋がる。Jリーグはレベルが上がっているので、高卒選手ですぐにレギュラーを獲れるのは100人に一人くらいですし、中途半端に競技力だけ高い選手ばかりだと、Jリーグの価値が下がっちゃう。中核はやはり大学卒業の選手が担ってほしい。(両方の)現場を経験したことで、改めて思いました」

<切り口>

清宮 「大学サッカーの人気獲得という視点で話をさせてもらうと、それにも新しい切り口が必要だね。例えば大学サッカーを見に来た人に車が当たると企画する。大学生が今、車に乗らないじゃない?だから自動車会社に『仲間が乗っている車が格好いいと(学生に)思わせないとダメなんです』とプレゼンをしに行く、とかね。要するに今までの枠組みを取っ払わないとということ」

外池 「今の学生って(結論ありきの)“何となくこんな感じじゃないかな”という“何となく”の部分が分かっちゃっているので、面白い人間が出てこない。プレーヤーにしてもこうあるべきという情報を多く持っているので、突き抜けて凄い選手が出てきにくい。将来性のある力のある選手が一個先を目指すみたいな雰囲気づくりをどんどんしていかないといけないと思います」

清宮 「大丈夫。これからより強くなっていけば、やりたいと思っていることがいろいろと出来るようになっていくから。大学選手権(インカレ)もあるんでしょ?頑張ってね」

(外池 「今季のリーグの最終戦でメンバー全員を4年生にしたのですが、4年生をその試合に送り出したいと思えたことが、今年1年の僕自身の気付きであり変化だったと思います。僕が学生の頃は選手各々に(個性の)強さがあった分、今年の4年生みたいに仲が良くなかったのもありますが(笑)。この過程は僕にとっても選手にとっても間違いなく(12月12日に開幕する)インカレに繋がる。インカレでは結果を出したいと思います!」

早稲田大は関東王者として今年度最後の大会、インカレに向かう


(終わり)

●清宮克幸
1967年7月17日、大阪府大阪市出身の51歳。2001年に母校早稲田大ラグビー部の監督に就任。2年目の03年に13年ぶりの大学日本一に導く。その後、トップリーグのサントリー、現在指揮をとるヤマハ発動機でも監督として日本一に輝く。北海道日本ハムファイターズでプレーする清宮幸太郎は長男。

●外池大亮
1975年1月29日、神奈川県横浜市出身の43歳。早稲田大を卒業後、1997年に平塚(現湘南)に入団。その後、横浜FM、大宮、甲府、広島、山形、湘南と渡り歩き、2007年を最後に現役を引退。引退後は電通に就職。現在はスカパーに籍を置きながら、早稲田大ア式蹴球部の監督。

(構成 児玉幸洋)
●第92回関東大学L特集

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