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プリンスL関東優勝決めても変わらない堅守と勝利への執着心。矢板中央が川崎F U-18下し、開幕16戦不敗に

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後半5分、矢板中央高MF池田隼人が右足ミドルを決めて2-0

[11.24 高円宮杯プリンスリーグ関東第16節 川崎F U-18 2-3 矢板中央高 川崎F麻生G]

 矢板中央が開幕16戦不敗に! 24日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2018関東第16節の川崎フロンターレU-18(神奈川)対矢板中央高(栃木)戦が行われ、ここまで10勝5分ですでに優勝を決めている矢板中央が3-2で勝利。開幕からの不敗記録を16に伸ばした。

 矢板中央は前半6分、MF飯島翼(3年)のループパスをPAのMF池田隼人(3年)が落とし、これを受けたU-19フットサル日本代表FW大塚尋斗(3年)が強引に右足シュート。DFに当たってコースの変わったボールがゴールに吸い込まれ、幸先よく先制に成功する。

 10分すぎまでは矢板中央が押し込む時間が続いたが、この後は川崎Fが圧倒的にボールを支配。15分にはボールに最も多く絡んでいたMF戸水利紀(1年)の好パスからFW山田新(3年)が右サイドを抜け出してシュートにまで持ち込む。これは矢板中央の右SB後藤裕二(3年)にゴールライン手前でかき出されてしまったものの、川崎Fはセカンドボールを回収しながら数分間敵陣で攻め続けるような時間帯もあった。

 人数をかけて守る矢板中央は相手の縦パスやシュートのコースを消し、ボールホルダーの逆サイドの選手がしっかりと内側に絞って対応。相手のパスを読んだ右MF伊藤恵亮(3年)がインターセプトからカウンターへ持ち込む。それでも、個々が精度の高さを見せる川崎Fは幾度か縦パスを通し、ショートコンビネーションでPAに侵入していた。

 31分には敵陣でボールを奪い返してからの速攻で山田が決定機を迎え、45分にはU-19日本代表FW宮代大聖(3年)が巧みな身のこなしでDFを外してからスルーパス。山田の折り返しをMF宮城天(2年)が左足で狙った。だが、矢板中央は最後のところでしっかりと身体を寄せて相手のシュート精度を乱す。高橋健二監督が「あそこで失点しなかったところがデカかった」と振り返ったように、苦しい時間帯を耐え、前半を無失点で終えた矢板中央が後半開始直後に追加点を奪う。

 後半5分、矢板中央は交代出場のMF板橋幸大(3年)が左コーナー付近でDFと入れ替わり、ラストパス。これをMF土谷大晟(3年)が左足で狙うと、こぼれ球を拾った池田が強烈な右足ミドルをゴール左隅に突き刺して2-0とした。

 川崎Fも17分、MF山内日向汰(2年)のスルーパスからMF有田恵人(2年)が決めて1点差。直後には左FKからCB高吉正真(3年)がクロスバー直撃のヘディングシュートを打ち込んだ。追撃ゴールから川崎Fの反撃の勢いが増していたが、次の1点を奪ったのは矢板中央の方だった。

 後半22分、矢板中央は中央から左サイドへ展開すると、ボールを受けた左SB眞島聖弥(3年)がカットインから右足コントロールショットを逆サイドのゴールネットに沈める。出場停止の左SB内田航太郎(3年)の代役として先発チャンスを得たDFのゴールで矢板中央は乗った。相手にボールを持たれても、「結構サイドで数的不利作られていたんですけれども背後に蹴って来ないし、足元で読みやすかったのでそこは自分でチャレンジしようと思った」という後藤やCB五十嵐磨於(3年)、CB白井陽貴主将(3年)が狙いすましたインターセプトからそのまま攻め上がるなど川崎Fを押し返す。

 また、後半は「きょうは相手にボールを保持される時間が多くて、カウンターするにも相手の方が数的優位だったので、ドリブルで外すよりは味方を待って時間を作れるようにと思ってやっていました」という飯島がキープ力を発揮。幾度かタメを作って味方の攻撃時間を増やすなど、相手の流れを断ち切っていた。川崎Fは宮代の直接FKが相手GK安西駿(3年)の好守にあうなど、反撃は後半終了間際に宮代からのパスを受けた山田の右足シュートによる1点のみ。我慢強い守備で常にリードして試合を進めていた矢板中央が3-2で競り勝った。

 矢板中央は当初9月1日に行われ、雷雨の影響により前半終了時点で試合が中止となっていた大宮ユース戦の後半を今月17日に行い、4-2で勝利。そこで優勝を決めていたが、白井主将が「選手権の日本一を獲ることが自分たちの目標ですし、プレミア参入戦もある。練習も意識して次の相手、次の相手とやっています」というように、満足感に浸ることなく、次の試合へ向けた準備に集中し続けている。

 矢板中央の失点数18はリーグ最少だ。白井が「良い守備が攻撃に繋がるというのはみんな分かっているし、それを意識しています」と語る守備意識の高さ、また飯島が「結果にこだわって勝つということが大事、と叩き込まれているのが大きい」という結果への執着心が昇格1年目でプリンスリーグ関東無敗を続ける要因に。今後も変わらずに守備意識高く白星を求め続け、関東1位として出場するプレミアリーグ参入戦(12月)、そして選手権も本気で獲りにいく。

(取材・文 吉田太郎)
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