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チームの内外で人を助ける! 看護師・和田がチームを笑顔で満たしたハットトリック

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和田一文は人生初のハットトリックにこの笑顔

[11.25 東日本リーグ第7節 buen cambio yokohama 3-2 埼玉T.Wings 東京・市営福生野球場]
チームでつかんだ白星! 笑顔と歓声を呼んだハットトリック

 見事な逆転勝利で、東日本リーグの順位争いを一気に面白くした。11月25日の東日本リーグ第7節第1戦、buen cambio yokohamaが2位につけていた埼玉T.Wingsに逆転勝利を収め、クラブ選手権出場権獲得の3位以内確保に向け、12月2日の最終節に望みをつないだ。
 
立ち上がりは埼玉T.Wingsが誇る男女の日本代表、加藤健人、菊島宙に圧倒される形となった。前半11分菊島、15分に加藤に立て続けにゴールを許す苦しい展開を一変させたのは、ブラインドサッカー歴3年目の若きストライカー、buen cambio yokohamaの和田一文だった。

「トップとしてしっかりボールを収めつつ、取れるところは取りに行く。これまで取れていなかったので結果を出したかった」と振り返る。
 
 前半19分、チームメートの元日本代表、落合啓士がプレスに行ったこぼれ球に飛び込み反撃の狼煙を上げる。後半7分には、2点目は味方のクリアの跳ね返りに素早く反応して同点に。終了間際の後半19分、GKからのロングボールを中央で受け素早く反転してねじ込んだ。「初めてのハットトリックです」と声をはずませる殊勲のゴールはすべて右足で決めた。

 競技を始めたきっかけは2016年のリオパラリンピック出場をかけたアジア選手権を友人に誘われて興味を持ったこと。地元で参加できるチームを探し、buen cambioに入団した。普段は看護師として医療に従事する24歳。人を助けることを生業とする和田が「どこのチームもそうだと思うのですが、年齢や職業、性別、障がいのあるなしに関わらず、ブラインドサッカーを通して、一つになれるのがうちのチームの魅力。みんなが喜んでくれるから僕はうれしいので」この日のチームを最高の笑顔で満たす立役者となった。晴眼者の和田は、国内ルールによってブラインドサッカーの試合に出ることができているため、勝利に貢献できた喜びは一層、増した。

 チームメートの落合も「神がかっていましたね。守備の人間はしっかりと抑える、守備の人間を信じて攻撃の選手はしっかりと点を取る。その仕事をやってくれた」と笑顔を見せた。「(宙に)1点はやられたけど、日本でもトップレベルの選手に最後の最後でブロックに入り、やらせなかったのは個人としてもチームとしても大きいと思います」と日本代表復帰に向け、確かな手応えを得た表情を浮かべた。

 後半から出場し、体を張った守備で勝利に貢献したのは女子日本代表の加賀美和子だ。「相手にはすごく早い選手がいる。それに何とかついていきたいなと思ってやっていました。宙選手に一度ディフェンスに入ることができたので、少し活躍できたかなと思います。今日はみんながそれぞれのポジションで役割を果たせたからこの戦いができました」と顔を綻ばせた。加賀もまた普段はあん摩マッサージ指圧師として、人を助ける医療従事者だ。

 まさに一人ひとりが自分の仕事を果たし、チーム一丸となって勝ち取った白星。秋晴れの福生に、この日の会場一番の歓喜の声と笑顔がよく映えた。


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