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地元で11季プレーし現役引退…柏MF栗澤僚一「家に帰ってきたような感じ。本当に幸せ」

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ホーム最終戦、栗澤僚一の引退の花道をつくった

[12.1 J1第34節 柏4-2G大阪 三協F柏]

 柏レイソルの黄金期を支えた“チームの心臓”が現役生活に幕を引いた。

 柏のホームタウンエリアである松戸市出身のMF栗澤僚一は、高校は本田裕一郎監督(現・流経大柏監督)が指揮する習志野、大学は流通経済大でプレーし、大学在学時の2004年にFC東京の特別指定選手となり、翌シーズンから加入。08年に期限付きで柏に移籍すると、以来11シーズンにわたって黄色いユニフォームに身を包んだ。09年にはJ2降格を味わったが、J2を制して1年でJ1に復帰すると、11年にJ1、12年に天皇杯、13年にナビスコ杯と3年連続での主要タイトル獲得にボランチの主軸として貢献。当時の指揮官であるネルシーニョ監督からも絶大な信頼を寄せられていた。

 地元のチームで10年半プレーした末の引退――。その歓びを感じることができるのはごく限られた選手だけだ。「自分の知っている街でプレーできるのは、家に帰ってきたような感じでプレーできていたと思います。みんなが地元帰ってプレーしたいと言うのはわかりますし、そこで引退できるのは本当に幸せなことだと感じました」。取材エリアでの栗澤は、晴れ晴れとした表情を浮かべていた。

 試合後に行われた引退セレモニーでは、涙を流しながら柏とFC東京のサポーターやチーム関係者、家族に感謝の言葉を語った栗澤。「普段はなかなか言えないので、タニに感謝の言葉を伝えさせてください」と永らくダブルボランチを組み、ともに“チームの心臓”を担ったMF大谷秀和へ言葉を贈った。「ボランチとして一番やりやすく、安心感があったのがタニでした。いつも隣で助けてくれて、一緒にいて心強かったです。そんなタニの練習でのふるまいや姿勢、試合で活躍するたびに、俺ももっとがんばらなくちゃいけないんじゃないか、もっとできるんじゃないか、とさせてくれたのもタニでした。レイソルにきて成長できたのも、タニの存在が大きかったと思います」。メッセージを受け取る大谷もまた涙を流しながら戦友の引き際を見送った。 

「誰よりもチームのために走れて、誰よりも予測がよくてセカンドボールひろえるし。インパクトはないかもしれないけど、チームのためにプレーしていた。(J1を)優勝した年なんかも、クリさんと酒井(宏樹)とレアンドロ(・ドミンゲス)の右サイドは、どこが相手でも崩せたと思う」と大谷は栗澤の印象を語る。

 2人でピッチに並んだ数々の試合で、一番記憶にある試合を大谷問うと「うーん……、一番?(笑)」としながらも「どの試合かと言えば、ACLで(栗澤が)2得点した試合じゃないですかね。なかなか点を取る選手ではないのに2点取ったのは印象に残ってます」と答えてくれた。大谷が挙げたのは、2013年のACLグループリーグ第3節、水原三星戦。敵地に乗り込んだ柏はPKを4本も献上するなど荒れた試合だったが、栗澤の2得点などで6-2の快勝を飾っていた。「結婚発表したときだったので、特に思い出がありますね」。結婚発表から2日後に、自らの得点で勝利した一戦を懐かしんだ。

「今野(泰幸)とヤットさん(遠藤保仁)じゃないですけど、あれくらいの存在だと思ってた」(栗澤)。Jを席巻した“タニクリ”コンビがJリーガーとして居並ぶことは今日でかなわなくなる。「タニはまだ選手としてやれることがある。レイソルを支えてほしい」。背番号28から背番号7へ、エールは贈られた。

(取材・文 奥山典幸)

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