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敗責を背負い、声詰まらせた横浜FC齋藤功佑「自分のマークで…」

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敗戦に肩を落とすMF齋藤功佑(写真左)

[12.2 J1参入プレーオフ2回戦 横浜FC0-1東京V ニッパツ]

「このクラブを応援してくれる方、関わってくれる方に申し訳ないことをしてしまった。そんな方々の気持ちを考えたら、本当に……」。J1参入プレーオフでの敗戦後、横浜FCの若武者から繰り返し発されたのは、痛切すぎるほどの謝罪の言葉だった。

 横浜市出身のMF齋藤功佑は1997年生まれ。中学時代から横浜FCの育成組織でサッカー人生を過ごし、2016年には念願のトップチーム昇格を果たした。昨季途中にJ2デビューを飾って6試合に出場すると、今季はさらに出番を増やし、レギュラーシーズンで18試合3得点を記録した。

 そうして迎えたJ1参入プレーオフ、MFレアンドロ・ドミンゲスが負傷していたこともあり、背番号27は3-1-4-2の2列目ポジションで先発した。「期待してもらっているのは伝わっていた」。抜擢に応えた齋藤は序盤から好プレーを披露。持ち前のテクニックにハードワークも加わり、頼もしさを感じさせた。

 しかし、勝ち抜けが見えてきた後半アディショナルタイム6分、非情な現実が待っていた。相手の右CKがゴール前に送り込まれると、攻撃参加していたGK上福元直人がヘディングシュート。ここから決勝ゴールを叩き込まれたが、この上福元をマークしていたのが齋藤だった。

「みんなの希望をあと一歩のところ、自分のところでなくしてしまった。他の選手がすごく盛り上げてくれて、身体を張ってくれていたのに……」。試合はそのままタイムアップ。「全員でJ1に行くぞという気持ちでやっていたけど、最後の最後で弱さが出た。自分のマークで行かれてしまって……」と責任を一身に背負った。

 取材エリアに訪れた齋藤の目には涙の跡があった。「育ててもらったクラブで恩返しをしないといけない立場なのに、クラブに申し訳ないし、関わってくれた全ての人々を悲しませてしまった。積み上げてきたものを、自分が最後、あのプレーで希望をなくしてしまった」。悔しさは何度も押し寄せた。

 この日の出場メンバーでは最年少の21歳。この先の未来は大きく開かれているが「この経験を次につなげるとは…そんなことはまだ言えない」と落胆は隠せない。だが、その感情は生まれ育ったクラブを愛し、背負う責任と向き合うからこそ。この経験を乗り越えた来季、さらにたくましくなった姿を楽しみにしている人々は少なくないはずだ。

(取材・文 竹内達也)

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