五輪エース候補がJ1残留決めた! 磐田FW小川航基「俺がやってやるという気持ちで」
[12.8 J1参入プレーオフ決定戦 磐田2-0東京V ヤマハ]
東京五輪のエース候補が、“天国か地獄か”の最終決戦で輝きを放った。J1参入プレーオフ決定戦で先発したジュビロ磐田FW小川航基は前半40分、自ら獲得したPKを沈めて先制点を奪うと、後半33分には追加点につながるFKも獲得。「俺がやってやるという気持ち」を体現し続け、チームをJ1残留に導いた。
今季リーグ戦での先発出場はわずか4試合。だが、FW川又堅碁のコンディション不良もあり、名波浩監督は大一番の先発を21歳のストライカーに委ねた。出場なしに終わった最終節・川崎F戦の後、悔しさをバネにして「使ってもらえる準備はしていた」と練習に励み、先発を予感したのは2日前の紅白戦。「俺がやってやるという気持ちに切り替わった」。
序盤からハードなプレッシングと身体を張ったポストプレー、そして最終ラインの背後へのランニングで脅威を与えた小川だったが、見せ場は前半40分に訪れる。「大記くんが前を向いて、顔を上げた時には走り出していた」。MF山田大記のスルーパスに抜け出すと、巧みなタッチでGK上福元直人をかわし、PA内で倒されてPKを獲得した。
すぐさまボールを手に取った背番号18はチームメートの問いかけに「行きます」と即答。インサイドキックで冷静に左へ蹴り込み、これがJ1残留を導く決勝点となった。振り返ればJリーグ初ゴールもJ1第31節広島戦でのPK。高校時代には自身のPK失敗で全国大会敗退が決まるという苦しい過去もあったが、「大事な場面を経験したことで蹴れるようになった」と“因縁”を力に変えた。
「大一番は好きなので楽しみながらできたし、目立ちたがり屋なので美味しいとしか感じていなかった」と語ったように、敗れればJ2降格が決まるという窮地には気負いせず。人によってはプレッシャーに感じるであろうホームの大声援にも「あの声援が全て。あの声があったから、プレスにも行けるし、球際も戦える」と背中を押されていたようだ。
自身の活躍で来季のJ1の座を死守した。だが、そんな感慨に浸る素振りは見せず、さらなる成長意欲を強調する。「もっと得点を取ったり、もっとシュートを打ったり、もっとボールをおさめたい」と課題を述べれば、2点目につながったポストプレーも「もっと身体を張って、もっと丁寧に味方に落として、もっとマイボールにしないといけない」と自身に妥協は許さない。
それは2年後の東京五輪で活躍するための基準でもある。「今年一年を思い返すと、同世代には堂安とか冨安、J1でバリバリ出ている選手もいる。自分は不甲斐ないと思っているし、比べるわけじゃないけど、意識してしまう部分はある」。昨年のU-20W杯を共に戦ったチームメートはA代表にも選出。自身は膝の大怪我から蘇ってきたとはいえ、出遅れている危機感は強い。
「五輪で活躍するためにはJ1でバリバリ出ているというのが大事なので、J1に残れてホッとした」。この日の活躍で道は開けた。ならば来季は——。「五輪代表に確実に入るためには、レギュラーを勝ち取らなければならない。嘉人さんとか、堅碁さんとか、前線にはすごい選手がいっぱいいるけど、そこで良さを出さないと五輪はない」。さらなる決意を胸に、来年春の開幕を迎えるつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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東京五輪のエース候補が、“天国か地獄か”の最終決戦で輝きを放った。J1参入プレーオフ決定戦で先発したジュビロ磐田FW小川航基は前半40分、自ら獲得したPKを沈めて先制点を奪うと、後半33分には追加点につながるFKも獲得。「俺がやってやるという気持ち」を体現し続け、チームをJ1残留に導いた。
今季リーグ戦での先発出場はわずか4試合。だが、FW川又堅碁のコンディション不良もあり、名波浩監督は大一番の先発を21歳のストライカーに委ねた。出場なしに終わった最終節・川崎F戦の後、悔しさをバネにして「使ってもらえる準備はしていた」と練習に励み、先発を予感したのは2日前の紅白戦。「俺がやってやるという気持ちに切り替わった」。
序盤からハードなプレッシングと身体を張ったポストプレー、そして最終ラインの背後へのランニングで脅威を与えた小川だったが、見せ場は前半40分に訪れる。「大記くんが前を向いて、顔を上げた時には走り出していた」。MF山田大記のスルーパスに抜け出すと、巧みなタッチでGK上福元直人をかわし、PA内で倒されてPKを獲得した。
すぐさまボールを手に取った背番号18はチームメートの問いかけに「行きます」と即答。インサイドキックで冷静に左へ蹴り込み、これがJ1残留を導く決勝点となった。振り返ればJリーグ初ゴールもJ1第31節広島戦でのPK。高校時代には自身のPK失敗で全国大会敗退が決まるという苦しい過去もあったが、「大事な場面を経験したことで蹴れるようになった」と“因縁”を力に変えた。
「大一番は好きなので楽しみながらできたし、目立ちたがり屋なので美味しいとしか感じていなかった」と語ったように、敗れればJ2降格が決まるという窮地には気負いせず。人によってはプレッシャーに感じるであろうホームの大声援にも「あの声援が全て。あの声があったから、プレスにも行けるし、球際も戦える」と背中を押されていたようだ。
自身の活躍で来季のJ1の座を死守した。だが、そんな感慨に浸る素振りは見せず、さらなる成長意欲を強調する。「もっと得点を取ったり、もっとシュートを打ったり、もっとボールをおさめたい」と課題を述べれば、2点目につながったポストプレーも「もっと身体を張って、もっと丁寧に味方に落として、もっとマイボールにしないといけない」と自身に妥協は許さない。
それは2年後の東京五輪で活躍するための基準でもある。「今年一年を思い返すと、同世代には堂安とか冨安、J1でバリバリ出ている選手もいる。自分は不甲斐ないと思っているし、比べるわけじゃないけど、意識してしまう部分はある」。昨年のU-20W杯を共に戦ったチームメートはA代表にも選出。自身は膝の大怪我から蘇ってきたとはいえ、出遅れている危機感は強い。
「五輪で活躍するためにはJ1でバリバリ出ているというのが大事なので、J1に残れてホッとした」。この日の活躍で道は開けた。ならば来季は——。「五輪代表に確実に入るためには、レギュラーを勝ち取らなければならない。嘉人さんとか、堅碁さんとか、前線にはすごい選手がいっぱいいるけど、そこで良さを出さないと五輪はない」。さらなる決意を胸に、来年春の開幕を迎えるつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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