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19歳橋岡大樹、昇格1年目でタイトル貢献「浦和レッズだからできた」

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トップチーム昇格1年目でタイトルに貢献した浦和レッズDF橋岡大樹

[12.9 天皇杯決勝 浦和1-0仙台 埼玉]

 愛するクラブでタイトルを獲れた喜びは格別だった。トップチーム昇格1年目の浦和レッズDF橋岡大樹はシーズン途中に右ウイングバックのレギュラーを掴み、代表活動での離脱もあったがポジションは譲らず。天皇杯では準決勝、決勝にフル出場し、緊迫した完封勝利に大きく貢献した。

「一年目でタイトルを獲ることがどれだけ難しいかは分かっている。浦和レッズだからできたことだと思っているし、浦和レッズに入って、浦和レッズでプレーできていることを幸せに思っている」。12年ぶりの天皇杯を制した直後、アカデミー育ちの19歳は「浦和レッズで優勝できたことがうれしい」と素直な喜びを口にした。

 2種登録だった昨季はルヴァン杯でピッチに立っていたが、今季はユース時代の指揮官でもある大槻毅ヘッドコーチが暫定的に指揮を執った4月11日の第7節神戸戦(◯3-2)でリーグ戦デビュー。AFC U-19選手権の期間にチームを離れつつも、オズワルド・オリヴェイラ監督に代わってからもレギュラーを守り続け、高卒1年目で25試合の出場試合数を積み重ねた。

「最初のほうはガムシャラにやるだけで良かったけど、試合に出るたびに求められることが多くなるし、少し苦戦したこともあった」。シーズン中盤をそう振り返る橋岡だが、今ではルーキーとは思えない落ち着きぶりを披露。「その経験は自分を進化させていくために良い経験だった」と大きな手応えを得た1年間だった。

 今季最終戦はタイトルが懸かったビッグマッチ。ピッチを幅広く使ってくる相手の戦術を前に攻め込まれ続ける時間帯もあった。だが、動揺はなかった。「決勝なので難しい試合になるのは分かっていたし、想定内」。対面のMF中野嘉大は何度も切れ味あるドリブルを見せていたが、「右利きなので縦に行かせたほうが勝てると思った」と冷静に対処し、決定的なチャンスは作らせなかった。

 もっとも、全てのプレーに満足しているわけではない。この日の1対1対応でも「突き詰めるなら一本もクロスを上げさせず、一本も中に行かせないようにならないといけない」とさらに先を見据え、「まだ課題はあるので、少しずつ克服しながらストロングポイントを伸ばし、さらに成長した自分を見せたい」と自らに妥協は許さない。

 この日の勝利によって、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権を獲得。クラブにとっては戴冠を果たした前々回以来2年ぶりの大舞台だが、「決勝は寮で見ていた」という自身にとっては初めての大会となる。「アジアの強豪と試合ができて、他の選手から『楽しい』と聞いていたし、どれだけ出せるか楽しみ」。自らの活躍で導いたアジアの舞台で、さらなる飛躍へのチャンスを掴む。

(取材・文 竹内達也)
●第98回天皇杯特設ページ

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