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[MOM589]関西学院大MF山本悠樹(3年)_ボランチ転向1か月半…頭を使う“新米”プレーメーカー

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関西学院大MF山本悠樹(3年=草津東高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.15 インカレ2回戦 関西学院大3-2(延長)東洋大 浦安]

 ピッチの至るところに顔を出す。ボールを呼び込んでは的確な位置に配球してリズムを生む。攻撃のタクトを振るった関西学院大MF山本悠樹(3年=草津東高)はピッチ上で眩い光を放ち続けたが、持ち場をトップ下からボランチに移したのは約1か月半前だったという――。

 ボールの受け方が秀逸だった。右サイドにいたかと思えば、いつの間にかに左サイドに移動する。最終ライン前にいたかと思えば、前線のフォローに入る。味方のパスを受けられる最適なポジションを常に取り、ボールを呼び込んでは相手の虚を突くトラップでマーカーを手玉に取った。さらにドリブルを仕掛ければ、巧みに足裏を使って相手のタイミングを外すなど技術の高さを示し、攻撃にアクセントを加えた。

 さらにチャンスと見れば、最前線まで飛び出した。1-2と1点のビハインドを背負って迎えた後半36分には右サイドのDFDF高尾瑠(4年=名古屋U18)のパスからPA内に走り込む。「(攻撃を)コントロールしているだけでは怖さを与えられない。チャンスを作れたら相手にとっても厄介だし、ついてこれていなかったので行った」。右足から蹴り出した柔らかな浮き球のパスで、FW林部晃己(2年=C大阪U-18)の同点ゴールを演出。さらに延長前半15分にはPKキッカーを任せられると、「4年生の思いもあった。外すわけにはいかなかった」ときっちりとネットを揺らして決勝点を記録し、3-2の逆転勝利へと導いた。

 中盤の底で圧倒的とも言える存在感を示したが、中学生から今年の途中まではトップ下が本職。ボランチにコンバートされたのは「1か月半くらい前」と明かし、高橋宏次郎コーチは「怪我人やチーム事情があり、インカレでは彼がボランチにいてくれることがチームにとって良いと思った」ための起用だと説明した。

「ゲームを作る役割を期待してボランチに起用した。彼はプレッシャーをはがせる力があるし、サイドチェンジを正確に出せる。常に考えてプレーしているのでポジションが変わっても、自分がどこにいるべきか、どう攻撃したら良いのかを頭で整理している」(高橋コーチ)

 本人は「守備で求められる部分が多くなった」とボランチでのプレーに難しさを感じながらも、「トップ下よりもプレッシャーが少ないので、ある程度は余裕を持ってプレーできる。試合をコントロールできていると感じられているときは、楽しさにもつながっている」と感じているようだ。「僕は体格がいいわけではないし、足が速いわけでもないので、相手よりも有利な状態でボールを受けないと生きない」。頭を使って自身を生かす“新米”プレーメーカーは、チームに勝利をもたらすために攻撃のタクトを振り続ける。

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(取材・文 折戸岳彦)

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