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名古屋でブレイクのOB相馬も感謝する「サッカーを楽しくしてくれた場所」三菱養和。“ファミリー”に支えられ、成長した3年生

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後半3分、渡辺大貴(3年)の同点ゴールを喜ぶ三菱養和SCユースイレブン

[12.9 高円宮杯プリンスリーグ関東第18節 三菱養和SCユース 1-1 桐光学園高 三菱養和会 巣鴨スポーツセンターG]

 “街クラブの雄” 三菱養和SCユース(東京)の3年生にとっては、このプリンスリーグ関東最終節が“高校ラストゲーム”。立ち上がりに桐光学園高(神奈川)の攻撃を受け、先制されてしまったが、そこから持ち直して後半立ち上がりに左SB廣川虎太郎(3年)の左足CKからCB渡辺大貴(3年)が同点ヘッドを突き刺す。そして、後半終了間際には連続して勝ち越しのチャンス。ここで決めきらなかったものの、相手に勝ち越し点も与えず、8位をキープしてリーグ戦を終えた。

 今年は、3年生にとって同学年のエースFW中村敬斗(現G大阪)が高校卒業を待たずに1年早くプロ入り。MF冨久田和真(3年)は「先輩からも『オマエら大丈夫?』と言われました」と微笑むが、春の関東クラブユース選手権(U-18)大会で優勝して見せた。ただし、良い時と悪い時の差が激しく、「100か0か」と言われるチームに。それでも、彼らはコーチングスタッフやOBのサポートを受け、全国大会で悔しい思いも経験しながら少しずつ戦うことのできるチームに変化していった。

 持ち前の明るさも力に。冨久田は「この3年生は周りからも言われるくらい本当に仲良くて、普段からワーワーやっていて、上下関係無くみんなで楽しんでやれていた」と説明する。その3年生について、後輩のU-17日本代表FW栗原イブラヒムジュニア(2年)は「本当に今の3年生は明るいので力になりました」と感謝。シーズン終盤も主将のMF松川隼也(3年)やCB遠藤光(3年)を中心に一体感を持ち続け、最後もインターハイ準優勝チーム相手にプレー、気持ちの部分でも劣らなかった。

 最終節、ベンチからの大声含めて全員で戦う姿は「下級生にも伝わったと思う」と増子亘彦監督。3年生は、今年名古屋でブレイクした早稲田大MF相馬勇紀らOBや小中学生の後輩も見つめる中で成長した姿を示し、“ラストゲーム”を終えた。

 街クラブを代表する強豪チームである一方、クラブ出身のOBたちを温かく迎え入れる雰囲気の良さも三菱養和の特長。三菱養和で時に厳しく、一方で伸び伸びと、個性を大事に育てられた相馬は「『サッカーを楽しくしてくれた場所』はここだった。自分は有名な選手じゃなかったけれど、学びながら必要なものを足していきました。(後輩たちは)希望を持ってやって欲しい」とクラブに感謝し、後輩たちにエールを送る。

 冨久田は「大学行った先輩たちが来て言うのは、『養和は本当にファミリー感が強くて、他にはない空気感がある。養和はそれくらいいいところだ』と」とコメント。そして、地方の強豪大学へ進学予定のMFは養和との距離が遠くなることが残念であることを口にしていた。

 “ファミリー感”とサッカー選手になるために必要なものを学ぶことができる環境。相馬が高校3年時には日本クラブユース選手権(U-18)大会でJクラブユース勢を次々と破り、優勝する快挙も成し遂げている。「強い養和」であり続けることの期待。それに応える責任感も彼らは持っている。

 栗原は卒業する3年生へ向けて「本当に明るくて、先輩後輩なくて、一緒にやっていて本当に楽しくて、終わるのは本当に寂しいですけれども、いい報告ができるようにしたい」。グラウンドに戻ってきてエールをくれるOB、明るい雰囲気を作ってくれた3年生のためにも後輩たちは個人、チームでの活躍を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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