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修正効いた静岡産業大、3大会連続の初戦突破! 15年ぶり出場の松山大は序盤優勢も…

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先制点を決めた静岡産業大MF山本拳士(4年=甲府U-18)

[12.12 インカレ1回戦 静岡産業大4-0松山大 熊谷陸]

 第67回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は12日、首都圏4会場で開幕し、1回戦8試合を各地で行った。熊谷スポーツ文化公園陸上競技場の第1試合は静岡産業大(東海2)と松山大(四国2)が対戦。4-0で完勝した静岡産業大が大阪体育大(関西1)との2回戦に歩みを進めた。

 15年ぶりのインカレ出場となった松山大に対し、3年連続出場の静岡産業大が優勢に進むかと思われたが、やや動きの少ない立ち上がりを迎えた。「動きが伴わないから相手が剥がれないし、ブロックを作れない」(成嶋徹監督)。1トップのFW山本榛真(2年=飛龍高)、右サイドのMF佐藤友哉(3年=暁星国際高)を中心に押し込むも、なかなか決定機をつくれない。

 静岡産業大は前半12分、山本榛のポストプレーからFW遠山拓民(4年=甲府U-18)が右足シュートを放ったが相手守備陣がブロック。対する松山大は前半19分、FW佐伯雄斗(2年=新田高)が前線で収め、右サイドに展開すると、鋭い突破を見せたキャプテンのDF兵頭俊昭(3年=松山工高)のクロスからゴール前で見せ場をつくった。

 ボールは相手に握られつつも、次第に試合のリズムを操る松山大は前半35分にビッグチャンスを迎える。MF藤本卓也(2年=高知西高)が縦にフィードを送り、兵頭が敵陣深くにドリブルで仕掛けると、ニアサイドにマイナス方向のクロスを配給。これがニアサイドに通り、華麗なターンでおさめた佐伯が左足で狙ったが、ボールはGK稲葉亜我志(1年=習志野高)の正面を突いた。

 松山大はその後も相手陣内でセットプレーのチャンスを獲得し、先制点が近づくムードを見せたが、先にスコアを動かしたのは静岡産業大だった。前半42分、遠山のFKがエリア内に送り込まれると、相手のクリアボールがPA右奥へ。これをDF原田大雅(4年=第一学院高)が拾い、鋭いクロスに合わせたMF山本拳士(4年=甲府U-18)がダイレクトで押し込んだ。

 1点リードでハーフタイムを迎えた静岡産業大は「動きの量を増やさないとしんどい。上下のラインコントロールはできていたけど、左右の横幅が間延びしていた」(成嶋監督)という課題を整理し、後半に臨む。すると前半のような守勢は少なくなり、徐々に一方的な展開に。後半16分、遠山のFKのこぼれ球をMF井上諒(4年=静岡学園高)が押し込み、追加点を奪うことに成功した。

 飛び道具で2点を先行した静岡産業大だが、流れの中でも強みを見せる。後半20分、自陣左サイドから原田が縦に浮き玉を配給し、そこに走り込んだ途中出場MF東山達稀(1年=静岡学園高)が中央に折り返すと、ニアで待っていた遠山がプッシュ。さらに同32分、東山の直接FKは相手に阻まれたが、こぼれ球を遠山が押し込み、背番号10の2ゴールでリードを4点に広げた。

 攻め込む機会が少なくなった松山大は、後半25分に投入したDF岡林仁(3年=高知商高)を前線で起用し、パワープレーに打って出る。だが、DF諏訪部徹(4年=川崎F U-18)を中心とした相手守備陣を崩せない。後半アディショナルタイム、静岡産業大はFW西口亮城(4年=宇治山田商高)がロングシュートでクロスバー直撃の決定機。4-0のまま試合を締め、2回戦進出を果たした。

 立ち上がりの苦戦をセットプレーで打開し、後半は見事に主導権を握り返した静岡産業大だが、成嶋監督は「積み上げてきたものが出たのは後半」と普段の戦いぶりを紹介。選手の距離感がよくなったことで多彩な攻撃を披露し、「うちは陸上もあれば、空中戦もある。どっちかに偏ったらダメだし、そういったところを体現できた」と手応えを口にする。

 これで3大会連続での初戦突破。一昨年、昨季と涙を飲んできた2回戦では大阪体育大との対戦を控える。「今日よりもっと圧力がかかるので、プレーの選択肢を考える余裕がないはず。まずは今日の後半みたいな攻撃、守備を前半からできればいいゲームになると思う」(成嶋監督)。初戦で得た課題と成功体験を胸に、関西王者に挑んでいくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
●第67回全日本大学選手権(インカレ)特集

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