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新潟医療福祉大が全国大会で初勝利! 2トップ躍動で3得点、プロ内定者3人先発の東海学園大を破る

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新潟医療福祉大が全国大会初勝利

[12.12 インカレ1回戦 東海学園大1-3新潟医療福祉大 浦安]

 第67回全日本大学サッカー選手権(インカレ)が開幕し、12日に1回戦が行われた。浦安市運動公園陸上競技場(千葉)の第1試合では東海学園大(東海1)と新潟医療福祉大(北信越)が対戦し、新潟医療福祉大が3ー1で勝利。全国の舞台で初白星を挙げた。

 新潟医療福祉大は北信越リーグを2連覇し、2年連続5回目のインカレ出場。リーグMVP&得点王のFW矢村健(3年=市立船橋高/2020シーズン新潟内定)とFW林純平(4年=尚志高)の2トップを前線に配置し、4-4-2の布陣を敷いた。

 東園大はリーグ総得点79という圧倒的な攻撃力で東海を制し、2年ぶり4回目のインカレ出場に。FW榎本大輝(4年=中央学院高/名古屋内定)、MF児玉駿斗(2年=中央学院高/2021シーズンの名古屋内定)、DF鹿山拓真(4年=長崎南山高/長崎内定)といったプロ内定者が先発に名を連ねたものの、一方で“4人目の内定者”MF渡邉柊斗(3年=東海学園高/名古屋内定)を負傷で欠く不安要素も残して、初戦に挑んだ。

 試合は開始早々の4分に動く。新潟医療福祉大はDF池田友樹(4年=桐光学園高)が右サイドからクロスを放つと、PA中央の矢村はミートせず。しかしこぼれたところを林が右足で押し込み、先制に成功した。

 東園大も前半10分、DF唐澤真三郎(3年=松本U-18)の右サイドからのクロスを最前線のFW神門滉人(3年=アミーゴス鹿児島U-18)が合わせるが枠外へ。すると同12分に新潟医療福祉大が追加点。MF上米良柊人(4年=湘南工科大附高)の右CKは守備の要・鹿山に阻まれるも、こぼれ球をMF鶴田雄佑(3年=湘南工科大附高)が右足シュートで決め、2-0とリードを広げた。

 東園大の安原成泰監督は「前の2トップがパワーがあるので、それに引っ張られた」と相手攻撃陣を評する。スピードとパワーに秀でた矢村と林の前線が東園大の守備陣を翻弄し、早い時間帯での2失点。追い込まれた東海王者だが、前半15分には意地をみせ1点を返す。児玉が敵陣でボールを奪って深い位置から折り返したところを、MF丸山義貴(4年=帝京大可児高)が右足シュート。ゴール左に流し込んで1-2と点差を縮めた。

 勢いに乗る東園大は前半21分、榎本がPA右から右足シュートを放つがGK宗像利公(1年=尚志高)がキャッチ。同24分にはDF神谷凱士(3年=東海学園高)が左サイドからFKを蹴り、ファーサイドのDF戸根一誓(4年=興國高)が頭で合わせるも、わずかにゴール上に逸れていった。

 東園大は榎本、児玉を中心にパスと個人技で打開を図るが、新潟医療福祉大の4-4-2の守備ブロックに苦戦。右サイドから唐澤が幾度とクロスを送るが、ゴールには結びつかない。安原監督が語る「そこからもうひとつ崩しが入る」という本来の攻撃は見せられず、逆に一瞬の隙を突かれて失点を食らってしまう。

 新潟医療福祉大は前半43分、DF喜岡佳太(3年=市立船橋高)からパスを受けた矢村が中盤をドリブルで運び、PA右に進入。右足シュートはGK高橋巧(4年=中央学院高)に阻まれるが、嗅覚鋭い林が反応してこぼれ球を押し込んだ。

 前半を1-3で折り返した東園大は、後半からMF澤朋哉(3年=三重高)に代えてFW加藤大貴(3年=東海学園高)を投入する。澤がいた中盤に児玉が下り、榎本が前線へ移動。加藤は左サイドから攻守に動いていく。

 より攻撃的になった榎本は持ち前のテクニックで新潟医療福祉大を圧倒。後方からの鋭い縦パスを勢いそのままに前方へ受け流すと、滑らかなダブルタッチで単独突破をみせていく。後半16分には鮮やかなタッチでキープしながら躍動。スタンドから感嘆の声が響いた。

 次第にオープンな展開になりつつもスコアは動かず、新潟医療福祉大は3-1で勝利。総理大臣杯とインカレ合わせて通算8回目の全国大会で、待望の初勝利を手にした。

 敗れた安原監督は「大臣杯も0-3とリードされてそこから追いついたけど、それと同じパターン。本人たちもわかっていたんですけど、これがインカレの難しさですね」と語る。「最後まで中途半端でしたね。守るのか攻めるのか…どっちなのか。そこはちょっと残念」と悔しさをみせ、「個性が強いからまとまったらすごいと思うんだけど、まとまろうとし過ぎちゃったのかもしれない」と敗因を探っていた。

 一方、新潟医療福祉大の佐熊裕和監督は試合を振り返り、「早めに得点して追いつかれることがよくあるので、そこは注意しました」と選手たちの油断を取り払ったことを明かす。チームのストロングポイントについて「ハードワークをしながら、全員で守備をして全員で攻撃をする」と語る指揮官は、「狙いどころでボールを奪えたっていうのは良かった。最終的には1失点で済んだのはみんながよくやったところ」と選手たちを称賛している。

 次戦の相手は昨季のインカレで準優勝となった法政大。佐熊監督は「挑戦して、結果はどうあれ、我々のやってきたことを出せればいい」と気張り過ぎずに意気込みを語った。

(取材・文 石川祐介)
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