beacon

7年前はJ1大宮にジャイキリ達成…「我らがホーム」に奮い立った福岡大、明治大との好カード決戦へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

2点目のゴールを決めた福岡大FW梅田魁人(3年=高川学園高)

[12.12 インカレ1回戦 札幌大1-3福岡大 熊谷陸]

 第67回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は12日、首都圏4会場で開幕し、1回戦8試合を各地で行った。熊谷スポーツ文化公園陸上競技場の第2試合は札幌大(北海道2)と福岡大(福岡1)が対戦。札幌大の追い上げを振り切った福岡大が3-1で勝利し、明治大(総理大臣杯優勝校)との2回戦に進んだ。

 福岡大にとって熊谷陸は思い出の地。2011年10月11日の天皇杯2回戦、当時J1リーグに所属していた大宮アルディージャをPK戦の末に破って“ジャイアント・キリング”を起こした会場だ。「その時の映像はよく見せているし、『われらがホーム』だと思い込んでいる」(乾真寛監督)。そうして奮い立った選手たちは、歴史を感じる場所できわめてしたたかな戦いぶりを見せた。

 立ち上がりは落ち着いた展開。「本来はうちのほうがハイプレッシャーだけど、今日は相手のことが分からないのもあって、様子見で引いたポジションから」(乾監督)。相手を飲み込むようなプレッシングスタイルはひとまず封印し、4-2-3-1の布陣を大きく崩さずに前進すると、敵陣でセットプレーを得ながら徐々にチャンスを作った。

 しばらく膠着した展開が繰り広げられたが、3-4-2-1の布陣で横幅を広く取った札幌大もチャンスをつくった。前半18分、MF高橋耕平(1年=北海道大谷室蘭高)のロングフィードにFW下田崇人(4年=札幌創成高)が抜け出したシーンは惜しくもオフサイドに終わったが、コンパクトに守る福岡大の守備陣に対し、サイドチェンジを使ってスペースを突く狙いが際立っていた。

 ところが前半29分、スコアを動かしたのは福岡大だった。浮き球パスに反応したFW梅木翼(2年=立正大淞南高)がPA内で抜け出すと、相手DFに倒されてPKを獲得。キッカーのFW梅田魁人(3年=高川学園高)が力強いキックを左に叩き込み、幸運な形で先制点が入った。札幌大は終了間際にFKのチャンスを得たが、MF平塚悠知(4年=北海道大谷室蘭高)のシュートは枠を外れた。

 福岡大は後半7分にも、セットプレーで追加点を奪う。MF河原創(3年=大津高)の左CKがニアに送られ、DF下堂竜聖(4年=樟南高)が頭でフリックすると、ファーに詰めた梅田が2点目を沈めた。しかし、札幌大も諦めない。少ないタッチ数でボールを回し、相手プレッシングの的を絞らせず、両サイドで起点を作る場面を多くつくった。

 福岡大守備陣もなかなか崩れなかったが、後半30分、浮き球に反応したGK真木晃平(2年=大分U-18)がFW半田航也(2年=秋田U-18)と交錯。キャッチし損ねたところFW秋元優(2年=湘南ユース)に詰められ、札幌大が1点を返した。しかし同34分、福岡大はMF大熊健太(3年=FC東京U-18)のクロスに途中出場MF今田源紀(2年=九州国際大付高)が頭で合わせ、すぐにリードを広げた。

「あの失点が痛かった。流れは完璧にこっちだったし、行ける流れだったけど……」と振り返ったのは札幌大のMF中島洸主将(4年=北海道大谷室蘭高)。札幌大は疲れの見えた選手を交代させ、フレッシュな布陣でゴールを狙ったが、2点のビハインドは重い。次々に選手交代を行った福岡大の流れを変えることができず、初戦での敗退が決まった。

 福岡大にとっては2年連続での初戦突破。しかし、同じ熊谷陸で迎える3日後には「決勝戦だと思っている」(乾監督)という明治大戦が控えており、「ここは通過点」と目立った喜びはない。それどころか「そのさきを考えるよりも明治戦のことを考える」と全てを注ぐ形で臨む構えだ。実際、1回戦では主力の温存を図り、交代枠5人全員を使い切った。

 明治大は総理大臣杯優勝校のため、1回戦は試合なし。コンディションに違いはあるが、「大きな疲労はないし、1試合先にできたのはアドバンテージ」(乾監督)とポジティブに捉える。ならば、縁起の良いスタジアムで勢いを持続させるだけ。悲願のインカレ初制覇を目指す名将は「一番面白いカードだと思ってもらえると思うので、堂々とぶつかっていきたい」とにこやかに意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
●第67回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP