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[MOM2738]尚志MF吉田泰授(3年)_死力を尽くした一戦でみせた“練習の成果”

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先制点を挙げた吉田泰授

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 プレミアリーグプレーオフ1回戦 尚志高 1-1(PK4-3)JFAアカデミー福島 広島一球]

「MOMなんて今日は決められないでしょう」と笑ったのは尚志高の仲村浩二監督である。全員がファイトして死力を尽くしたゲームであることは間違いなく、チームをまとめたMF大川健(3年)も、交代出場でのPKセーブを見せたGK鈴木康洋(2年)も、闘志も見せたFW染野唯月(2年)も素晴らしかったのだが、ただ「やはりあそこを決めたことは大きかった」というMF吉田泰授(3年)を推した。

 もっとも、試合全体を通した出来としては本人も「今日は調子が悪かった」と率直に振り返ったとおり。「自分だけ試合に入れてなかった。もっとウォーミングアップからちゃんとやらないといけなかった」と言うように、立ち上がりからフィットしなかった。ただ、悪いときこそ普段から徹底しているものが出るというものだ。

 前半38分の得点場面は右サイドのスローインから始まる攻撃だった。逆サイドにいた吉田が意識していたのはクロスボールに詰めていくこと。「ウチが得意としている形」と仲村監督が胸を張るように、クロスからのフィニッシュは練習を重ねてきた形でもある。

 右サイドをMF加瀬直輝(3年)が抜けてきた状況で、「相手もいたので、浮き球で合わせるのは難しいと思った」という判断から「マイナスのボールを受けられる位置に」入り込んだオフ・ザ・ボールのプレーはまさに重ねてきた練習の賜物。一枚がニアで潰れる中で流れてきたボールを落ち着いてゴールへ流し込んだ。

 交代となった後にまさかの同点劇が生まれる苦しい試合となったが、「フィールドが8人になってしまって、マジでヤバいなという状況だったけれど、ベンチにいたみんなでとにかく声を出した。本当にみんなが頑張ってくれた」という言葉どおり、PK戦の末に勝利を掴み取った。

 福島県出身の吉田は中学時代、「尚志を倒してやる」という志を胸に秘めて練習に励んでいたと笑って振り返るが、まさかの尚志から獲得のオファーを受けることとなり進学を決断。厳しい練習を乗り越えてポジションを掴み、大一番で大仕事を達成してみせた。「尚志に来て良かった」と笑った男は、次の2回戦、そして選手権での活躍も誓っている。

(取材・文 川端暁彦)
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