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かっこ悪くなんかない、これが勝ち方…“福岡大のツボ”にハメたサッカーで明治大を撃破

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まさにワンチャンス!後半21分にFW今田源紀が決勝点を決めた

[12.15 インカレ2回戦 明治大0-1福岡大 熊谷]

 第67回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の2回戦が15日に行われ、浦安市運動公園陸上競技場の第2試合では、福岡大(九州1)が明治大(関東5)を1-0で下した。17日の準々決勝では大阪体育大(関西1)と対戦する。

 これが福大のサッカーだ。「残念ながらかっこいいサッカーではないし、上手いサッカーではないし、面白いサッカーではない。でもやっぱりこれがトーナメントの勝ち方」。乾真寛監督は、してやったりといった様子で胸を張った。

 予想通りの展開となった。序盤から明治大がボールを保持、それをラインを下げて守る福大が跳ね返し続ける。ただこれは福大が得意とする戦法。スカウティングで前線の選手がサイドに開きがちになるため、ゴール前が薄くなると分析。センターFWの村田航一(4年=日章学園高)を警戒しながら、しっかりとゴール前を固めた。

 そして最後は体を投げ出してでも止める。泥臭いサッカーを90分間やり続ける。試合前日、乾監督は、歴代インカレを勝ち上がってきたチームが何が良かったかをイレブンに教授。「洗脳した」と冗談交じりに話したが、「福大DNA」をしっかりと選手たちが体現した。

 さらに狙いは攻撃面でも的中する。「カウンターで差し返す」ことだけに集中していた福大。後半に入り圧力を強めてきた明大の攻撃は「怖かった」(乾監督)と振り返るが、そこを耐えたことで逆に自信が湧いてきていたという。

 そして後半14分に今季スーパーサブとして起用しているFW今田源紀(2年=九州国際大付高)を投入。すると同21分、狙い通りのカウンターがハマる。FW梅田魁人(3年=高川学園高)が右サイドを駆け上がったMF河原創(3年=大津高)に浮き球パス。河原はゴール前を見ると冷静にクロス。ゴール前に詰めていた今田がヘディングで流し込み、スコアを動かした。

 まさにワンチャンスを決めた形の今田は、「シュートは1本か、2本だけだったと思うけど、これが最初から狙っていたサッカー。別にこれがかっこ悪いと思っていないし、これを誇りと思って戦っている」と堂々と話した。

 長年、福岡大は“九州の雄”として君臨する。さらに今季は九州リーグで2位に勝ち点9差をつける圧勝劇だった。ただし全国大会になると、リーグ戦とは全く違う、割り切ったサッカーが出来ることも伝統的な強さとして身についている。

「ゴール前の粘りがハマってくると、全国大会だなと思う。俗に言う、“福大のツボにハマった”というやつです」と、にんまりとした乾監督。勝てば官軍。内容面では明治大が圧倒したという印象がこの試合を観たものにはあるかもしれないが、勝ったという事実は、福大のものであり続ける。

(取材・文 児玉幸洋)
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