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[MOM2740]尚志FW染野唯月(2年)_後半45分、U-17代表FWが傷口残る頭で劇的V弾!

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後半45分、尚志高FW染野唯月が決勝ヘッド

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 プレミアリーグプレーオフ2回戦 尚志高 2-1 横浜FMユース 広島スタ]
 
 頭頂部から右側頭部の間にできていた大きな傷口は、医療用ホチキスで処置されたままだった。尚志高のU-17日本代表FW染野唯月(2年)は後半45分、痛みの残る頭で劇的な決勝ヘッド。チームに8年ぶりとなるプレミアリーグ昇格をもたらした。

 染野は2日前の1回戦(JFAアカデミー福島U-18戦)で頭部を裂傷。救急搬送され、味方のPK戦勝利を病院で知った。「動画で見て、帰ってから(チームメートに)感謝の気持ちを伝えました」という染野。医師から出場のゴーサインが出たことで仲村浩二監督は本人に「やるかやらないか、オマエが決めろ」と決断を委ねたという。

 鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身の染野は、プレミアリーグに所属する鹿島アントラーズユース(18年プレミアリーグEAST優勝)と戦いたいという思いを強く持っていた。出場することを決断した染野は後半開始からピッチへ。出るからには競り合いを躊躇することは許されない。空中戦に全力で臨んで強さを発揮し、持ち味のパスでもチャンスメークした染野は改善してきた守備面でもチームに貢献。相手のミスを誘発して同点に追いついた後も存在感を発揮していたFWは、能力の高さを示す決勝ヘッドでチームを勝たせて見せた。

 MF加瀬直輝(3年)の左CKに対し、ニア寄りの位置へ走り込んだ染野は傷口に近い右頭部でヘディングシュート。精度良く飛んできたCKを「あのヘディングシュートも痛かった」と言いながらも圧巻の打点で捉えると、ボールはゴール右隅を破った。

 劇的な決勝点、そしてプレミアリーグ昇格。「来年やるのは自分たちですし、自分が決めてプレミアに上がりたかったので良かったです」と語った染野は、「プレミアでアントラーズとやりたいというのがあった。そこにようやくたどり着いた。(昇格できなかった鹿島ユースを)見返してやろうという気持ちもあります」と来季対決することになる鹿島ユース戦に思いを馳せていた。

 1年時から出場機会を掴んだ染野は今年U-17日本代表入り。それでも守備面などの課題があったが、仲村監督はよりチームのためにプレーできるようになってきたことを認める。そして、この日はチームを勝たせるゴール。日本代表FW大迫勇也のように前線で収めるプレー、そしてゴールを狙うFWは、自分が求めている場所で過ごすこととなった来年、厳しい戦いの中でさらに進化を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)
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