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地元の隠れた逸材、秘話も。日テレ系アナウンサーが「選手権座談会」vol.2

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組み合わせ抽選会直後に行われた日テレ系アナウンサーによる「選手権座談会」

―あまり表に出てないけど、面白い選手のお話などがあれば是非教えてください。

福岡「東福岡ですが、県大会でもあまり出てないんですけど、2年生にモヨ・マルコム強志という選手がいて。とにかくこの子の身体能力は、今までの東福岡の中でも群を抜いていると(森重)監督、(志波)総監督が言っています。お父さんがイギリス、お母さんが日本の方なんですが、50mが本人曰く5秒7。高校サッカーで子どもたちに自称で言わせると5秒6〜7が出て、日本記録じゃないかって(いうことがあるが)。それが信じられるくらいの面白い選手がもしかしたら全国で出てくるかもしれない。右のサイドハーフ、もしくは右のサイドバックで。これが右サイドをぶち抜くようなプレーがもし全国で披露されると、面白い存在になるのかなと思います」

渡邊「今年じゃないんですけど、去年遠野で長谷川監督と一緒にチームを支えておられる澤村勇一部長という方がいて。どちらも遠野高校で監督の経験があるんですけど、去年、澤村さんの息子が3年生でインターハイのあとに前十字靭帯を断裂したんです。小学校中学校と遠野で全部全国大会に出ているんですけど、最後の最後だけマネージャーになって終わっていったんです。最後負ける瞬間にマネージャーをしっかり映してリポートしたあとに、そんなに澤村さんは喋る方じゃないんですけど『ありがとう』と一言言われた時には凄く感動しました。集大成にケガで出られない。ただ、やっぱり映してあげたい。必ず取材中や実況に臨む上で、この子だけは映してあげたいっていうのは絶対にありますよね。ベンチにいるし、応援席にいるんだけど、この子だけは絶対に映してあげたいっていう。そういう時には、ベンチリポーターにも応援席のリポーターにも『必ず入れて』とお願いしています」

中野「普通じゃ理解できない場合がありますよね。高校3年生の受験直前に応援席で必死に太鼓叩いている3年生。受験が気になるだろうに、なんで仲間の為にここまでできるんだろうって。
そう言えば、星稜高校にも(注目の)2年生GKがいるんじゃないですか」

越崎「(河崎)監督の息子さんが高校2年生でして。来年3年生になるんです。(なぜ星稜へ進学したのか、)本人はあまりそういうことを語らないタイプなんですけど。あと、今年、星稜には195cmのGKがいるんです。将来有望と言われているんですけど、現在は試合には出てないんです。まだ細くて筋肉さえつけばっていう3年生です」

中野「川畑は今年、国士舘を」

川畑「はい。国士舘高校の実況を担当して、都大会の決勝の中継で紹介できなかったスタッフがいるんです。結城コーチという監督のそばで雑用からAチームの指導までやっている元教え子のGKコーチがいるんですけど、結城コーチは最後に都大会の決勝に出た10年前の国士舘高校のGK。上野監督に話を聞こうと思ったら、『僕のことはいいんで結城コーチの話を聞いてください』と言われるくらいチームの中では大事な存在らしいです。決勝では、その結城コーチが教えているGKがPKストップをして、国士舘高校が1対0で勝ってるんです。でも、(実況で)その話ができなくて、その時の結城コーチの顔はどんなだったかなと思うと、話せなかったのは凄くもったいないなと思っていて……。全国では結城コーチの顔をたくさん映せるといいなと思います」

中野「大阪学院高校は初出場なんですね」

立田「大阪学院は今回初出場で、今の流れじゃないですけどGK(梅田)がいいんですよね。それこそ中学校は中体連なんですよ。街クラブではなく、中学校のサッカー部出身で、大阪では珍しいんです。磯部GKコーチという、もともとFC大阪で選手をされていた方がコーチに。本人も、コーチも日本一練習していると言い切っていました。走る量とか。確かに練習を見に行って、GKってこんなにやるのって思うくらい練習をしていて。決勝も0対0のPKだったんですが、GKが活躍して勝ったという試合でした」

―PKストッパーのGKもまたいいんですよね。

立田「そうです。梅田があれだけ良かったのに最後、延長後半終わりにPK要員のGK(池上)に代えたんです。それが当たって勝ったんです。その采配も凄かったです」

髙橋「今回、西京高校が山口代表で、高川学園との決勝が10回目だったんですけど、初めて勝ったんです。それを見て、他はどうなんだろうって見た時に、中国地方は立正大淞南と米子北は全国大会出場を決めていますが、一方で山陽側の瀬戸内と岡山学芸館。山口の西京というのは、屈し続けた盟主を今回破ってきた。今回、広島、岡山、そして西日本豪雨の被害が山口もあったんです。なので、そういったフレッシュな力で、ハツラツとしたプレーを見たいなって思いますね」

中野「じゃあ、トゥーマッチ(榎本アナウンサー)。彼は高校サッカーファミリーの我々の中ではトゥーマッチと言われてるんです。圧がすごいので」

榎本「英語があまり詳しくなくてトゥーマッチってすごいいい…」

中野「そういうところがトゥーマッチ(笑)」

榎本「今、GKの流れで来てたので、GKのことしか用意していませんでした。今年、徳島は久々に大型GKで、インターハイで優秀選手に選ばれた中川という188cmある選手がいるのですが、またコーチの話になります。斎藤コーチというコーチが見てるんですけど、結構高校サッカーに詳しい方だとご存知かもしれません。75回大会で徳島商業が1回だけ(徳島)県勢で国立に立っているんです。その時、4回勝ったうちの3回PKで勝ち上がってるんですが、身長170cm前半のGKで画星(えぼし)という選手がいてPK戦で3本止めたりしています。その画星が結婚を機に斎藤に改名しているんです。なので、みんな取材に来るんですけど、気づかないんです。ずっと斎藤コーチはいるんですよ。地元の人はみんな知ってるんですけど、意外と高校サッカーの記者さんがいらっしゃっても「昔、画星っていたよね」なんて話をするんですけど、斎藤さんだって誰も知らなくて。背も小さいのでGKコーチだと思われにくいんですけどね。以前は徳島商業でGKコーチをされていて、その人が今、河野監督について徳島市立の方で今コーチをされています。画星さんをピックアップするチャンスがなかなかないので、いつかしたいなと思っていました」

―優勝争いのお話は難しいかもしれませんが、地元代表校はいかがでしょう?

立田「大阪勢は首都圏開催以降優勝がないんです。振り返ると、最後に大阪が優勝したのは北陽高校(1973年度)なんです。北陽高校は初出場で初優勝している。それを思うと大阪学院は初出場なので、これはあるんじゃないかと。どうでしょう」

川畑「東京はもう全校応援になるであろう、2校とも(試合会場の駒沢陸上競技場が位置している)世田谷区の学校なので。駒沢はまさにホームで凄いことになると思います」

中野「80分、もしくは90分戦う中で選手交代5人というのは大きいですよね。前半で選手を代えるチームも出てきましたし」

渡邊「(実況側としては)残り10分で4人代わった時のテンパりが(笑)」

中野「後半だけで最大10人代わりますからね」

越崎「交代という意味では(星稜の)河崎監督は凄いです。県大会の準決勝、1-0で勝ったんですけど、後半に右サイドの選手を替えて、しかもかつ5分くらいプレーしたあとにサイドの配置を入れ替えたんです。そしたら変えたサイドのクロスから替わって入った逆サイドの選手が点を取って、監督に聞いたら『なんかそんな感じがした』っておっしゃっていました」

中野「先日行われた茨城決勝、明秀日立も代わって入った選手のファーストプレーのクロスで得点が決まりましたよね。まさに見事な采配」

渡邊「替えた選手をさらに替えるというパターンもあるじゃないですか。そういう選手はかわいそうですけど、(実況では)ちょっと讃えるように意識しています」

——組み合わせの印象もあれば。

福岡「東福岡と浦和南ですけど、全国制覇を3度ずつの両校なんですけど。ちなみに僕は福岡担当なので、東福岡の今年面白いというのは、県大会の2戦目から全部逆転勝ちが続いているんです。全部先制されての逆転勝ちなので、これが全国大会でもそういう粘り強さがずっと見られると面白いなというふうに思っています。交代選手が5人というのが気になるという話がありましたけど、今年の東福岡はとにかく層が厚くて。志波総監督曰く、スタメンレベルの選手が今年は16〜17人いると。後半20分に必ず交代をするんですけど、そこから全部ひっくり返してる形なので、今年は“逆転のヒガシ”。赤なので、プロ野球の逆転の広島とミックスしながら放送できればなと思っています(笑)」

川畑「駒澤大学高校の大野監督と組み合わせが決まったあとに話をしたんですけど、抽選会の司会をやりながら平成最後の選手権ですよね、という話をしたんです。平成元年度の最初の話をした時に、武南と南宇和の決勝だったんです。大野監督は高校時代、“武南のマラドーナ”と呼ばれて、出た大会がその平成元年度の大会だったんです。平成最初の選手権の決勝で負けて、平成最後の選手権で出てきている。何かいいことが起こったらそんな話もするのかなと」

榎本「平成絡みだと徳島県は国体の高校選抜が、実は平成元年の国体で唯一優勝しているんです。それで今年、平成最後なので、というところで楽しみにしています。平成の初期は徳島市立がユース選手権とインターハイで優勝して本当に強くて、その時のセンターバックが(河野)監督なんですけど、そこの絡みで何かないかなと勝手に思っています。今年は凄く戦力も充実していて、四国の高体連のチームだと圧倒的に個が強いと思います。ただ、(初戦で)流経大柏が来ましたので。どちらかというと、今までパスサッカーだったのが縦に速い系のサッカーに切り替えたところでこんな強いチームが来たので、監督も参っている感じはあったんですけど。そういう部分は期待しちゃいますね」

中野「あと、高校サッカーはメンタルの部分が非常に大きい。何かがあると一つになるという部分でいうと、四中工の樋口監督の勇退というのが選手たちにどれくらい思い入れとパワーを与えるか。3年ぶりに戻ってきて、その年が監督にとっての最後の大会という部分でいうと、四中工も名門ですし。秋田商業もですし、名門校同士の初戦も見逃せないです」

渡邊「秋田は金足農業フィーバーで燃えていますから」

川畑「秋田商業は8月に亡くなった外山先生の弔い合戦の部分もありますね」
※選手として全国制覇を経験し、監督としても2度の4強入りを果たした外山純元監督は、2018年8月に胃がんのため69歳で死去

(取材・文 吉田太郎)
第97回全国高校サッカー選手権は、民間放送43社の共同制作でテレビ放送される。
今大会では、公式ホームページ(http://www.ntv.co.jp/soc/)で全試合フルマッチ配信と、一部の試合のライブ配信が行われる予定。
●【特設】高校選手権2018

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