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ワールドカップ初の8強入りに本腰! アンプティサッカーの東日本リーグ戦が来年1月から初開催へ

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エンヒッキ松茂良ジアス(左)の迫力あるプレーを頻繁にみられる

 11月のメキシコワールドカップ(W杯)で日本代表が史上初の10位に食い込んだアンプティサッカー協会が初めて来年1月26日に東日本リーグ(仮称)を実施する方向で最終調整をすすめていることが明らかになった。

 水面下で進められているのはFCアウボラーダ、AFCバンブルビー千葉、TSA FC+ガネーシャ静岡、合同チームの4クラブが参加し、1月26日の開幕戦を皮切りに3月まで月1試合の総当たり戦を行い、各チーム3試合行う。4月以降の実施方法や優勝決定方法なども並行して話し合われている。西日本にも関西セッチエストレーラス、アフィーレ広島AFC、FC九州バイラオールと3クラブ存在するが、お互いのクラブ同士が距離的に遠いため、どうリーグ戦に発展させるかも議論を重ねているという。

 切断障がいを持つ人がプレーするアンプティサッカーはおもに春に大阪で開催するレオピン杯、秋に川崎で開催する日本選手権と全国規模の公式戦を開催してきたが、いずれもトーナメント方式だった。ある協会関係者が明かす。

「W杯では今までで一番上位に行けたけど、弱い国には戦えるけど、強い国には歯が立たなかった、ととらえています。2012年のW杯で対戦時には同じぐらいの実力だったポーランドがその後、急激に力をつけて前回2014年のW杯でベスト4に入る力をつけたのは、欧州はお互いに国同士が近くて、試合を他国と数多く組めたことが要因のひとつでした。サッカーの日本代表も、Jリーグができて飛躍的に伸びた。アンプティのさらなる強化として現状の日本で唯一できるのは国内リーグだと思っています」

 2010年の協会が発足してから春はレオピン杯、秋は全日本選手権が開催されているが、いずれもトーナメント方式。お互いに勝負にこだわるため、出られる選手や控え選手の出場時間も限られ、伸び盛りの選手の成長を十分に後押しできなかった。春と秋にリーグ戦を実施することで試合数を大幅に増やし、選手の実力を伸ばすための環境づくりを進める。

 この競技を日本に紹介し、2010年に協会発足にも尽力したパイオニア、日本代表のエンヒッキ松茂良ジアスはW杯の出発前、こう明かしていた。

「世界を目指すにはもっと競技人口を増やさないといけない。ただ、選手同士の競争率が高くなれば1試合1試合のレベルもあがり、代表の強化につながると思う」

 エンヒッキと同じFCアウボラーダでプレーする若手有望株の小学6年生、石井賢は目を輝かせる。石井は小学校1年の頃に交通事故にあって左足の膝から下を失い、それでも小学2年生からこの競技をはじめ、大人にまじって11月の日本選手権でもゴールを決めた。

「代表の選手はみんなうまくて、それなのに勝てなかったということは、練習にあてられる時間が足りなかったり、相手がさらに強かったということだと思います。4年後のW杯では出たいという気持ちを持っているので、まずは出られるように頑張って、8位以上になりたいです」。

 選手の実戦機会を増やす環境改善によって、日本代表のさらなる躍進につなげる。

(取材・文 林健太郎)

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