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~俺たち同級生~鈴木徳真×高橋光成 前橋育英選手権準V主将&甲子園V右腕、教室の机も隣同士だった…[前編]

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鈴木徳真(右)と高橋光成は前橋育英高で同級生だった

 今春より徳島ヴォルティスでJリーガーとしてのキャリアをスタートさせる鈴木徳真と、埼玉西武ライオンズで投手として活躍する高橋光成は、前橋育英高(群馬)の同級生。サッカー部の主将として全国高校選手権で準優勝に導いた鈴木。2年生エースとして甲子園を優勝し、ドラフト1位でプロ入りした高橋。前橋育英レジェンド世代の2人は当時、教室の机も隣同士だった――。

■再会

高橋「おー徳真!久しぶり!」

鈴木「光成も元気だった?」

―会うのはいつ以来?

高橋「プロに入って一回、筑波大学に行くことがあったんですよ、自分。陸上のトレーニングを学ぼうと思って。コーチの紹介だったんですけど、その時に徳真と会って。それ以来だよね?」

鈴木「そうだね。俺が1年生の時。ちょうどこの時期だった。大山(卞 圭悟)先生に会いにだよね。俺も授業を受けたことがあるんだけど、何を教えてもらっていたの?」

高橋「ウエイトトレーニングの仕方とか、走る姿勢とか。ハンマー投げとか砲丸投げの人はどういうトレーニングをしているかというのも聞いたかな。でも徳真、いいよなー。筑波だもんなー。経歴めっちゃいいじゃん」

鈴木「何が?学歴社会はもう終わりだよ(笑)」

高橋「終ったの?じゃあいいや(笑)。俺が大学?ないよ(笑)。頭が悪かったもん。高卒でプロに行くしか考えていなかったなー。高校の先生にも大学どこかありますかって聞いたんだけど、お前はプロしかないって、そんなこと考えるなって言われてたし」

鈴木「そうだよな、お前は本当に勉強やってなかったもんな。その印象しかないもん(笑)。何とかなるでしょ、みたいな感じだった」

高橋「その点お前は本当に効率よくやっていたからね。ところで大学サッカーってどんな感じなの?」

鈴木「大学サッカーのレベルは関東や関西とか各地域にいろいろリーグがあるんだけど、関東が1番って言われてきている。そこで17年は1位を取って、18年は2位だった」

高橋「めっちゃ強いじゃん!そこのボランチ?スゲーなやっぱり」

鈴木「茶化しているだけだろお前。高校の時から俺のことはめっちゃいじるくせに、逆に光成を茶化すと拗ねて、すぐ無視する。マジでガキだったよな(笑)」

高橋「ハハハ」

―菊池雄星投手がメジャーリーグに挑戦する予定。西武の次世代エースですね。

高橋「めっちゃいじるじゃないですか!頑張んないとですけど……、サッカーの話をしましょうよ!ゲキサカなんですから!でもチャンスはチャンスだと思っていますよ」


■お互いの第一印象

高橋「前橋育英はスポーツ科が4クラスあって、2クラスが男子クラス。野球部、サッカー部、剣道部、自転車部、バスケ部がいたかな。それで俺たちはたまたま2年と3年のクラスが一緒。さらに名簿の順番通りに並んだらいつも席が隣だった。奇跡的だよね」

鈴木「第一印象なんて覚えてる?話すようになったのは一緒のクラスになってからだったと思うけど。でも俺らのクラス、今考えると凄いよな。隣の席に“クマコウ”がいた時もあった」

高橋「クマコウ。本当懐かしい」

鈴木「熊谷航っていうバスケの選手で、今、大東文化大でバスケをしていて。大学バスケの日本代表にも選ばれていて、キャプテンをやってるんだって。ちょっと前に会ったときにはプロに行けるかもみたいなことを言っていた。そのほかにも坂元達裕(東洋大→山形)、吉永大志(日大→福島)がいて。渡邊凌磨(新潟)はクラスが違ったけど、俺らの代は結構プロ選手になる印象だよね」

高橋「確かに。でも何で徳真は前橋育英だったの?栃木出身でしょ?俺は群馬出身でも有名じゃなかったけど、徳真はすでに名前が知れていたもんね」

鈴木「俺は高校に入ったときには、もう代表歴がついていたから、確かにそういう目で見られていたかもしれない。でももともとはサンフレッチェ広島のユースに行きたかったんだけど、それがダメだったからなんだ。サンフレッチェには中学校の時に憧れていた野口翼さんっていう先輩がいたのと、(当時の監督の)森山(佳郎)さんに教えてもらいたかったんだけど、ダメだったからすぐに切り替えて。サンフレッチェ以外のユースは考えていなかったから、練習参加をさせてもらって、育英に決めたという感じ」

高橋「へー、そんなことがあったんだ。知らなかった。でもどっちがよかったと思う?」

鈴木「今は行けなくて良かったのかなって思ってるけどね。育英とかマンモスチームじゃん。部員が170人とかいて。ユースになるとチームで18人くらいしかいないから、一人ひとりの競争率が高い。自分は高校に入るまでもクラブチームでやってきたから、そっちの方が合っていたのかなって思ってる」


■日本一

鈴木「高校時代を振り返ると、日本一を獲るために必死だったよな。野球部に先を越されて、サッカー部はこれだけ長くやっているのにって、めっちゃ圧かけられたもん」

高橋「自分は甲子園に出たくて育英に入ったんだけど、実際、学校としてはセンバツに一回出ただけだったし、普通の中学校からの進学で、15人くらいの推薦のうちの一人という選手だった。でも2年生の時に初めて出た夏の甲子園で優勝して。それまでは前橋育英と言えばサッカー部、今もあると思うけど、優勝したことで野球部もという風にちょっとはなったよね」

鈴木「俺、光成たちが甲子園を優勝した時、代表遠征でチェコに行っていたんだよね。決勝の前日の夜までずっと携帯を見てたんだけどさ、俺らが寝てるときに試合してんじゃんみたいになって。それで朝起きたときにチェックしたら、『光成優勝してんじゃん』ってなった。で、すぐにLINEしたと思うけど……覚えてる?」

高橋「……うん!記憶はないけど」

鈴木「だよな(笑)。でもいろんな人からメッセージが来ていて、ありがとうってひたすら返信していたと思うから、大変だったと思うよ」

高橋「その時チェコに行ってたんだっけ?サッカーのシステムって凄いよね。普通にチェコとか行けちゃうんだもん。野球はないからね。俺も甲子園が終わって高2高3と代表に入ったけど、行ったのは台湾とタイ。チェコとかいいなー。絶対に旅行で行かなくない?」

鈴木「旅行とは違うよ(笑)。でも確かに代表遠征で15とか20か国くらいは行かせてもらったかな。自分的にはイタリアが一番良かった。雰囲気とか街並みがおしゃれというか、落ち着いていて気に入ったのを覚えている。料理もおいしかったし、それで海外志向にもなったし」

高橋「イタリアとか行っちゃうんだもんなー」

鈴木「でもさ、光成が日本一になったのは本当に羨ましかったんだよ。俺ら最後に選手権行ったじゃん」

高橋「うん、俺も決勝を現地に観に行ったと思う」

鈴木「そう、その決勝で負けちゃったんだけど、あの時の記憶ってすごく覚えているだけど、自分の中ではすごく消したい記憶。(テーマソングだった)『瞳』っていう大原櫻子さんが歌っていた歌でさえ、テレビでイントロが流れてきたらすぐにチャンネルを変えちゃうくらいの悔しさがあった。あの時は監督のために勝ちたいなという気持ちが強かった。自分が勝たせてあげられなかったという思いが、今でもあるんだよね」

高橋「確かにあそこまで行ったら悔しいよな。ところで徳真は高校からプロに行く選択肢はなかったの?」

――後編に続く――


●鈴木徳真
1997年3月12日生まれ。栃木県小山市出身。前橋育英高サッカー部では主将。3年時の第93回全国高校サッカー選手権では準優勝。高校入学前から世代別日本代表でもプレー。筑波大では1年時よりレギュラーを獲得。2年時に大学選手権を優勝。3年時は関東リーグ1部を優勝した。卒業後は徳島ヴォルティスに入団する。

●高橋光成
1997年2月3日生まれ。群馬県沼田市出身。高校2年時に出場した第95回全国高等学校野球選手権大会で前橋育英高を初優勝に導いた。14年ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから1巡目指名。ルーキーイヤーに5勝を挙げるなど、プロ通算14勝。今年から背番号を17から13に変更し、更なる飛躍を目指す。

(取材・構成 児玉幸洋)
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