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[横山杯]選手権戦うAチームに追い風。駒澤大高が市立船橋をPK戦で振り切り、初優勝!

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セカンドチームで参戦も、堂々の戦いで優勝を勝ち取った駒澤大高イレブン

[12.29 横山杯ファイナルゲーム 市立船橋高0-0(PK2-4)駒澤大高 若松運動場]

 駒大高が初V! 強豪校の新チームの1、2年生が「サッカータウン波崎」(茨城)で力を磨く「横山杯 第19回全国ユース招待サッカー大会」は29日午後、1st Division Topのファイナルゲーム(決勝)を実施した。決勝リーグ第1グループ1位の市立船橋高(千葉)と同第2グループ1位の駒澤大高(東京)が対戦。0-0で突入したPK戦の末、駒大高が4-2で勝ち、初優勝を飾った。

 PK戦5人目、3-2とリードした先攻・駒大高のMF松本悠佑(2年)が左足シュートを左隅に沈める。優勝が決まった瞬間、大会MVPに選出された松本とPK戦で1本を止めたGK三浦健太(2年)の下へ駒大イレブンが一斉にダッシュ。喜びを爆発させた。

 駒大高のメンバーは、選手権を控えた主力組の1、2年生とは別行動のセカンドチーム。それでも強豪校を連破して勝ち取った優勝に、江川高輔コーチも「個人としてはまだまだ足りない選手ばかり。でも、チームで補ってまとまり、団結力が良かったです。粘って、駒大らしさを少し表現できたと思います」と目を細めていた。

 市立船橋は体調不良の選手もいて、急遽別のカテゴリーのチームから数人を補った陣容。4-4-2システムのGKは細江彦太(1年)で4バックは右SB玉井崇大(2年)、CB阿部渓哉(2年)、CB野崎輝(2年)、左SB植松建斗(2年)。中盤はMF町田雄亮(2年)とMF佐久間賢飛(1年)のダブルボランチで右MF松本海槻(1年)、左MF鈴木唯人(2年)。2トップは伊藤涼也(2年)と金子凛(1年)がコンビを組んだ。

 一方、4-5-1システムの駒大高はGKが三浦でDFラインは右SB泉大樹(2年)、CB内田哲平(2年)、CB上田汰一(2年)、左SB吉田舜(2年)。中盤はMF林駿祐(2年)と松本のダブルボランチで右MF黒木弘也(2年)、左MF田口聖也(1年)、トップ下が原幸士朗(1年)。1トップは長谷川唯月(2年)が務めた。

 強風の中で行われた一戦は前半、風上に立った駒大高がロングボールとハイプレスで押し込もうとする。市立船橋はピンチこそ無かったものの、ボールを奪った後、相手に距離を詰められてしまい、攻撃を落ち着かせることができない。

 小柄な町田が球際の攻防を幾度も制し、佐久間が危機察知してインターセプト。前線では伊藤がボールをキープして時間を作っていたが、相手に合わせたサッカーになってしまっていた。波多秀吾コーチは「もう少し早くゲームを安定させたかったですね。(ビルドアップ時に相手のプレスを上回る)サポートができていなかった」とコメント。前半の終盤までは思うようなゲーム展開にすることができなかった。

 一方の駒大高は相手を危険なゾーンにほとんど入れることなく、試合を進める。182cmCB内田が局面で強さを発揮し、上田ら他のDFラインの選手とともにPAに入ってくるボールを確実に跳ね返す。そして、攻撃時には吉田の攻め上がりや松本の左足キックを活用。右サイドでDFと入れ替わった長谷川がエンドライン際まで切れ込むシーンもあった。

 後半はボールを握られる時間こそ増えたものの、松本が「(自分たちはセカンドチームだが)『駒澤のプライドを持って一戦一戦戦っていこう』というのはスタッフさんからもあって、そこはみんな持っていたと思う」と説明したように、高いモチベーションと集中力を持って戦う駒大高は無失点を継続する。

 対する市立船橋は、後半開始から投入したMF森英希(2年)と植松の連係など左サイドから攻撃を作る。だが、全体的にビルドアップの際のサポートの距離感が悪く、パスコースが限定されてしまっていた。13分には右サイドからのFKを植松がグラウンダーで狙い、ゴールネットを揺らすが、味方選手がオフサイドポジションにいたことでノーゴールの判定に。23分には植松が1対2の状況から強引にクロスへ持ち込んだが、中央で合わせることができない。

 市立船橋は22分、FW賀澤陽友(2年)を投入し、駒大高は32分にFW湯浅織人(2年)とMF福原琉市(2年)をピッチに送り出す。駒大高がセットプレーからゴール前にボールを入れてゴールをこじ開けようとしていたのに対し、市立船橋は賀澤のシュートなどで1点を狙う。だが、駒大高の守りは堅い。終了間際には植松の縦パスに反応した鈴木が左足を振り抜いたが枠を外れ、決着はPK戦に委ねられた。

 その1人目、先攻・駒大高は内田が市立船橋GK細江に止められてしまうが、相手の2人目・佐久間のシュートをGK三浦が止め返す。市立船橋3人目の鈴木のシュートがクロスバーを叩いたのに対し、駒大高は2人目の湯浅から福原、泉と決め、最後は松本が左足でゴール。強敵を倒して優勝した。

 駒大高の江川コーチは来年、Aチームのメンバー争いに挑戦する彼らに対し、「プレスはまだまだだと思う。それは駒大高の一番の長所。全国で戦えるプレッシングサッカーにしていかないといけない。責任感を持って、(コーチ陣、チームメートから)信頼されるようになってほしい」と期待した。

 駒大高のAチームは30日に選手権開幕戦を戦う。松本は「また明日から選手権があって、自分たちはピッチの上ではできないですけれども、自分たちができることをピッチ外でもチームのプラスの影響を与えられるような行動をして、応援や声がけでチームをサポートしていきたい」。頂点まで勝ち抜いた経験は間違いなく大きい。彼らは選手権期間中、Aチームのサポート役に回るが、その期間も来年輝くために責任感を持って行動し、先輩、他チームから貪欲に吸収する。

(取材・文 吉田太郎 取材協力 スポーツマネジメント)

●【特設】横山杯 第19回全国ユース招待サッカー大会
横山杯大会公式ページ

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