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[MOM2755]岡山学芸館MF永田一真(3年)_ 「頭が真っ白」になった2年前の無念晴らすハット

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左足で先制点を決める岡山学芸館MF永田一真(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 遠野高0-4岡山学芸館高 味フィ西]

 2年前の悔しさをぶつけた。岡山学芸館高(岡山)は2年ぶり2度目の全国選手権出場で初勝利。圧巻のハットトリックでチームを勝利に導いたMF永田一真主将(3年)は「学芸館の歴史に1勝を刻めたことはすごくうれしい」と素直に喜んだ。

 初出場だった16年度大会は1回戦で山梨学院高(山梨)に0-1で敗れ、初戦敗退。当時1年生だった永田も後半31分から途中出場した。「ピッチに立っただけで頭が真っ白になるぐらいで、何もできなかった」。チームは自身の1年時に全国総体、全国選手権、2年時にも全国総体に出場したが、最終学年となった今年は4年ぶりに全国総体を逃していた。だからこそ、最後の選手権に懸ける思いはだれよりも強かった。

「1つ上も2つ上もキャプテンらしいキャプテンだったけど、自分はキャプテンと言える感じじゃなくて、試合で結果を残して引っ張っていくタイプ」という永田がこだわってきたのがゴール。2年前の選手権ではFW登録だったように、もともとはFWだったが、2年生になってからボランチやトップ下など中盤にポジションが変わった。それでも「サッカーは得点を取らないと勝てない。(2年前の選手権で)負けてからは得点にこだわってきた」と、信念はブレなかった。

 この日も4-2-3-1のトップ下での出場だったが、強靭なフィジカルでボールをキープし、攻撃の起点になるだけでなく、積極的にゴール前へ顔を出し、ゴールを狙った。遠野の長谷川仁監督も「10番の永田くんのところでボールを奪われ、フィジカルの強さで持って行かれて、試合を優位に進められた。あそこでボールを奪えず、ボランチやセンターバックがつり出されて守備をさせられた」と攻守両面でその存在感に脱帽したが、この日は何といっても得点だった。

 先制から1分後の前半11分、カウンターからPA内でボールを受けると、冷静に切り返して左足でシュート。「あんまり覚えていなくて、感覚的にやっていた。(相手は)枚数がいなかったし、はがせば打てると思った」と追加点を奪うと、後半10分にも「強引だったけど」と個人技から右足でゴールを決めた。締めくくりは後半30分。DF伊藤柊都(3年)の右クロスに頭で合わせ、ハットトリックを達成した。

 左足、右足、頭でのハットトリックに「自分の持ち味はどこからでも狙っていけるところ。右足でも左足でもヘディングでもいつも狙っている。そこが今日の試合に凝縮されていたのかなと思う」と胸を張った。初戦突破も、ここが最終目標ではない。卒業後は福岡大に進学する背番号10は「最高の年越しになったけど、ここで勝って満足するのではなく、一日一日を大切にして臨みたい。ベスト8を目標に掲げているので、ここから勢いに乗って、まずはそこを突破したい」と、さらなる高みを見据えた。

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2018

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