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17年ぶり奮闘の“赤き血のイレブン”に万雷の拍手…浦和南指揮官「本当に有難い」

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浦和南は4失点の大敗を喫した

[12.31 選手権1回戦 浦和南高0-4東福岡高 NACK]

 17年ぶりの選手権出場となった浦和南高。1970年代に大ヒットしたアニメ『赤き血のイレブン』のモデルにもなった高校の再登場に、地元ファンは一目見ようと早朝から長蛇の列をつくり、チケットは完売になった。観客数は11990人。OBである日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長や元日本代表の水沼貴史氏も観戦に駆け付けていた。

 その期待に応えるべく、開始早々から浦和南が決定機を迎える。前半2分にPA内まで進入すると、MF岡田竜哉(3年)の右足シュートはクロスバーを直撃。岡田は跳ね返りを頭で押し込もうとするが、今度は相手GKに阻まれた。優勝候補・東福岡高に対してゴールに迫る姿に、スタジアムは大熱狂。しかし、徐々に攻め手を失った浦和南は逆に失点を重ね、0-4の大敗を喫した。

 野崎正治監督は「たらればですけど、入りがすごく良かったので、あそこで1本でも入っていれば。これがサッカーなんですね」と肩を落とす。地元での大応援に選手たちのプレッシャーはなく、「私が一番緊張していた」とも明かし、「いつもよりリラックスして入りましたからね。逆に嫌な予感もしていた」と振り返った。

 後半7分で4失点目を食らい、勝負はほぼ決していた。しかしスタンドからは最後まで声援が途切れることはなく、選手たちの奮闘に会場は沸き続ける。試合後には、スタンドまで駆け付けた“イレブン”を万雷の拍手で迎え入れた。

「本当に有難い」。チケット完売の情報に指揮官は感謝を述べる。「最初に出場したときはペットボトルとか色んなものが飛んできたのを覚えている。今日は暖かい拍手で、本当に応援して頂いているんだなって、本当に有難かった」。だからこそ募る思い。「本当に悔しいですね。勝たせてやれなくて悪いねって」。

 過去11回の出場を誇る浦和南だが、平成時代の出場は2001年度と今大会のみ。野崎監督は可愛い後輩たちの奮闘に「新たな歴史。半歩でもドアは開けたかな」と褒め称えた。伝統校は平成最後の選手権で、新たな一歩を踏み始めている。

(取材・文 石川祐介)

●【特設】高校選手権2018

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