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元Jリーガー監督率いる全国初出場・龍谷が前半3発で快勝! 羽黒は県勢12年ぶりの初戦突破ならず

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龍谷高が羽黒高に3-0で快勝(写真協力・高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権2回戦 羽黒高0-3龍谷高 フクアリ]

 第97回全国高校サッカー選手権2回戦が2日に各地で行われた。フクダ電子アリーナの第2試合では、2年連続7回目の出場となる羽黒高(山形)と、夏冬を通じて全国初出場の龍谷高(佐賀)が対戦。前半の3ゴールを守り抜いた龍谷が3-0で快勝を飾った。3回戦は3日に行われ、龍谷は同会場で秋田商高(秋田)と顔を合わせる。

 山形県勢として12年ぶりの初戦突破を目指す羽黒と全国初白星を狙う龍谷の一戦。羽黒が後方からのショートパスで攻撃を組み立て、それを龍谷が前からの激しい寄せで阻もうとする構図の中、先にスコアを動かしたのは龍谷だった。

 前半3分、後方からのロングボールにFW出口陸(3年)が快足を飛ばして走り込むと、競り合ったDF星野竜弥(3年)と入れ替わる形でPA内右に進入。角度のない位置から思い切り右足を振り抜き、ゴール上段に叩き込む。「(試合の)入りのところは大事だと思っていた」という出口の長所を生かした一撃で龍谷が先制に成功した。

 前半7分には、この日の狙いが形となって表れる。龍谷は高い位置から複数人でプレッシャーをかけ、羽黒のMF嵯峨野凱(3年)からボールを奪取。PA内に抜け出したMF横山太一(3年)がGK小玉太一(3年)に倒され、PKを獲得する。「相手がポゼッションのチームなので、プレッシングがうまくハマった」(太田監督)。同9分にPKキッカーを務めたMF後藤嵩裕(3年)が左足で落ち着いてゴール左下へ流し込み、リードを2点に広げる。

 県予選を無失点で勝ち抜いた羽黒としては、手痛い序盤の2失点。ボールを動かしながら龍谷のハイプレスを剥がそうと試みるが、流れを変えることはできない。すると、勢いに乗る龍谷が前半32分に追加点。敵陣でボールを回収し、中央で受けた横山が狭い隙間を通すスルーパスを送る。出口がPA内中央にフリーで抜け出し、GK小玉との1対1からワンタッチで右足のシュートを決めた。

 羽黒は0-3となった後にようやくペースを握り始め、前半34分に左サイドからのクロスにMF荒井潤太(2年)がノーマークで飛び込む決定機を創出。同39分には自陣からのロングパスを受けたFW山口快(3年)がPA内右に持ち込み、右足で鋭いシュートを放つが、いずれも得点には結びつかない。

 追いかける羽黒は後半に入るとゴール前にボールを運ぶ回数が増加していく。後半11分、左サイドの山口がドリブルでDFを引きつけ、外側から上がってきたMF荒井潤太(2年)にラストパス。荒井はPA内左から右足のシュートに持ち込んだものの、相手に当たって枠の外へそれた。

 龍谷はピンチをしのぎつつ、交代カードも使いながら時計の針を進める。後半34分には2枚目の交代枠でFW宮崎優生(3年)を下げ、FW竹島海太(3年)を投入。大会前の練習中に右足を骨折したエースが全国の舞台で実戦復帰を果たす。竹島は後半アディショナルタイム3分に左サイドでパスを受け、ドリブルから左足でシュートを打つが、GK小玉がセーブ。龍谷は後半にゴールこそ奪えなかったものの、前半のアドバンテージを生かして3-0のまま逃げ切った。

 現役時代に福岡や草津(現群馬)、長崎などでプレーした太田恵介監督の下、2014年の本格強化スタートから5年目で手にした全国初勝利。「ハードワークでは負けない自信がある」と話す指揮官は「練習でやってきたことを出せれば勝てると思っていた」と胸を張る。「今日の試合はもう終わったので、次に向けていい準備をやっていきたいと思います」(太田監督)。3日の3回戦・秋田商戦で再び新しい歴史を作りに行く。

(取材・文 阿部哲也)
●【特設】高校選手権2018

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