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「自分を成長させてくれた」ライバルの分も選手権で頂点へ。流経大柏の鹿島内定CB関川はまず1勝

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[1.2 選手権2回戦 徳島市立高 1-2 流通経済大柏高 フクアリ]

 鹿島内定の流通経済大柏高CB関川郁万(3年)が、まずは初戦を突破した。前半から攻守に渡って空中戦で圧倒的な強さを発揮。後半16分に自身が前線へ上がっている際にカウンターを食らって先制点を失うと、ピッチサイドの本田裕一郎監督から呼ばれ、FWに上がってパワープレーをする指示を受けていた。

 だが、その指示直後にMF熊澤和希(3年)が同点ゴール。これによって最終ラインに残った関川はその後、相手のカウンター攻撃を凌ぎ、逆転勝ちに貢献した。「逆転できるチームになってきたと思います。それは収穫でした」と関川。難しい初戦を制したことにホッとした表情を見せていた。

 関川にとっては1年ぶりとなる全国の舞台だ。準優勝した昨年度の選手権後に膝を手術。復帰後に迎えたインターハイ千葉県予選では準決勝で敗れ、出場を逃している。今大会は、すでに今大会1回戦で敗れた旧友の思いも込めての戦いだ。

 17年大会の優勝校として臨むはずだった18年インターハイは、FC多摩ジュニアユース時代の旧友であるFW宮崎純真(3年)の活躍によって山梨学院高が優勝。同じくCB望月駿介主将(3年)、CB内田拓寿(3年)、MF阿部龍聖(3年)の3人のFC多摩ジュニアユースOBが活躍した桐光学園高が準優勝した。

 今大会は彼らと直接戦うことを楽しみにしていたが、山梨学院は県予選準決勝で敗退。そして、桐光学園は12月31日の全国1回戦で姿を消した。特に関川は桐光学園CB望月との対戦を楽しみにしていたという。

「良きライバルなので。高め合ってきましたし、モッチー(望月)に対しては感謝もあります。モッチーがいなかったら、自分もこんなに成長していなかった。向こうは(FC多摩時代)一個上で出ていて悔しさもありましたし、自分を成長させてくれたきっかけでもある。高校でも負けたくないという気持ちがあってやってきました」

 千葉の名門・流経大柏で入学直後からレギュラーを務めてきた関川に対し、望月は神奈川の強豪・桐光学園で1年からレギュラーに抜擢され、今年は主将を務めてきた。彼に負けないように、乗り越えるように努力してきた自負がある。過去2年の選手権はいずれもどちらかが出られず、今年のインターハイも関川が出場を逃したことで対戦は実現しなかった。それが今大会はともに出場。「どっちも出るとなって気持ちが高ぶりましたし、できれば同じヤマでやりたかった」。だが、望月は大津高との強豪対決で0-5の完敗。最大のライバルと戦うことがないまま、高校3年間を終えることとなった。

 31日、関川は「お疲れ」と連絡を入れ、望月からは「頼んだよ」と返事があったという。同じ日本一という目標を持って、強豪のリーダーとして挑戦していたライバル。「その分も思いを背負わないと」と誓いを新たにした注目CBが、旧友のためにも頂点まで勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2018

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