beacon

主将不在の日本航空が選手権初勝利!四国学院大香川西とのPK戦を制す

このエントリーをはてなブックマークに追加

PK戦を制した日本航空(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権2回戦 日本航空1-1(PK6-5)四国学院大香川西 駒沢]

 6年ぶり2度目の出場となった日本航空高(山梨)は、先制後に追いつかれる苦しい展開になるも、1-1で突入したPK戦で四国学院大香川西高(香川)に競り勝ち、PK6-5で嬉しい選手権初勝利を挙げた。日本航空は1月3日、丸岡高(福井)と駒沢陸上競技場で3回戦を行う。

 この時期、駒沢陸上競技場では一定の向きに風が吹く。その風の使い方がこの試合のポイントだったかもしれない。前半、コイントスに勝ち“あえて”風下のエンドをとったのは日本航空だった。大黒柱の主将塚越誠也(3年)が直近の県リーグ戦で退場処分になったことで出場停止。大きな不安要素を抱えての選手権初戦となったが、冷静な試合プランで臨んだ。

「どう強くなるか分からなかったけれど、夕方に向けて風は強まるだろう」(仲田和正監督)と、後半勝負を目論んだ日本航空。前半は縦への推進力を見せる四国学院大香川西、豊富な運動量でピッチを広く使う日本航空、互いの形が出て五分の展開に見えた。だが、分が悪いと感じていたのは四国学院大香川西の方だったようだ。「日本航空の土俵でサッカーをしてしまった。なかなかつなぐことができなかった」と、四国学院大香川西の大浦恭敬監督は振り返る。

 スタメンに1年生6人を起用し、緊張する選手権の舞台で五分に戦ってみせた前半の四国学院大香川西。しかし後半、風上に立った日本航空が攻勢を強める。ウリのハードワークに追い風が加わりペースをつかむと、後半24分に左サイドからFW師岡柊生(3年)が上げたボールをFW江井晋之助(3年)がトラップし、右足で切り返して左足でシュート。これが見事に決まり、狙い通りの先制に成功した。

 だが、四国学院大香川西も反撃。後半31分、一度フェイクを入れたスローインで裏のスペースをとったFW吉田源太郎(3年)がエンドライン際からファーサイドへ浮き球を出すと、これをMF宮本大輝(1年)が頭で押し込んで同点。試合は1-1のまま延長戦なしでPK戦へもつれ込んだ。

 サドンデスまでもつれこんだPK戦では四国学院大香川西の6人目のキックを日本航空のGK橋本亮太(2年)がストップ。PK6-5で日本航空が勝利をものにした。

 PKの練習は積んできていたという日本航空。だが直前の調整試合では尚志、旭川実、流通経済大柏と最後にPK方式をやらせてもらって3連敗。「笛が鳴ってからも落ち着いて、自分の間合いで蹴るように」(仲田監督)とアドバイスしていた。その言葉の通り、選手たちは一人一人ゆっくりと時間をかけ、正確で強いキックで全員が決めた。

「選手権で1勝するのがこんなに大変なものか」。念願の選手権初勝利を手にした仲田監督。後半終了間際には
、前回出場時の佐賀商戦でアディショナルタイムにボレーシュートを決められたシーンが頭をよぎったという。「先制した後、試合をクローズできない甘さ、怖さをもう1回認識してほしい。前からのプレッシャー、走力がうちのストロング。でも今日は守備において怖気づいていた」と反省の弁が口をつく。

 一方、四国学院大香川西の大浦監督は「中盤の寄せと球際が強かった。ボールを奪っても奪い返された」と舌を巻いた。夏以降伸びてきたという1年生には、今後も全国で戦う上での大きな経験になったことは言うまでもないが、「後半2、3点取られてもおかしくなかった」展開を同点でPK戦まで持ち込んだだけに、勝ってさらに全国での経験を積みたかったのが本音だろう。

 決して100%とはいかなくとも、相手に脅威を与えることができた日本航空のサッカー。勝利すれば、また次の試合で自分たちらしさを出すチャンスが与えられる。「40分ハーフのゲームでは先手でいったほうが後悔はない。後手にならないように先にカードを切る」と決めている仲田監督。全国初勝利というテイクオフで上昇気流に乗ることができるか、3日の試合がその実力が試される。

(取材・文/伊藤亮)
●【特設】高校選手権2018

TOP