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ひるまぬ丸岡が前回8強の米子北を撃破!粘り強い守りから“得意の形”でV弾

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勝利を喜ぶMF小林晃喜(3年)ら丸岡イレブン(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権2回戦 米子北0-1丸岡 駒沢]

 丸岡高(福井)が堅守で米子北高(鳥取)を1-0で完封。1回戦で全国総体ベスト4の東山高(京都)を破ったのに続き、前回大会ベスト8で高校年代最高峰プレミアリーグにも所属していた米子北に競り勝った。丸岡は3日に、3回戦で日本航空高(福井)と駒沢陸上競技場で戦う。

 堅守とハードワークで粘り強い守りから試合のペースをつかむ丸岡が、好守にバランスがよく、かつ推進力に勝る米子北の攻勢をどう凌ぐか。それがこの試合のポイントだった。我慢を強いられるのは丸岡。だが、苦しくとも80分間を耐えうる忍耐力と集中力には丸岡にはあった。

 丸岡の小阪康弘監督は言う。「奪われて前に運ばれて…。うちにとっては嫌な戦い。米子北さんの方がゲーム運びは素晴らしかった」。だが、そうなることは織り込み済みだった。「米子北さんの圧力にどれだけ耐えられるか。そして跳ね返してのセカンドボールをどれだけ取れるか。特に前半は風下だったので相手の佐野海舟君(3年)に拾われてスルスルっと抜かれないように常に3~4人で囲んでシュートを打たせないようにしました」と、対策を明かした。

 常に数的優位な状況で守る。それには相応の運動量やポジショニング、読みと判断が求められる。丸岡の選手たちに派手さはないし、ミスも皆無とはいえない。だが、大崩れしなかったのは、自分たちのできることとできないこと、そしてすべきこととすべきでないことがチームとして明確に共有されているからか。なにかチームに通底する図太い芯が迷いのないプレーから見て取れる。「ボールを動かして、というサッカーは全国では通用しない。前2枚にボールを預けて押し上げていくサッカーを徹底しました」と指揮官は語った。

 一方、米子北の中村真吾監督は「全員攻撃、全員守備という点で同じようなタイプ同士の対戦。攻守の切り替えが大事だと思っていました。裏に抜け出すなどチャンスになりかけていましたが…、そこからのフォローやカバーが少なかった。個でやろうとしすぎた面があったかもしれません。もっと攻撃に厚みを出していれば…。丸岡さんの守備は粘り強かった。ダブルボランチの運動量は多く、DF4に対し、サイドの選手も中に絞ってしっかり守ってきました」と、相手を称えた。

 後半、風上に立った丸岡は堅守を維持しつつ、切り替えの早さでチャンスをつかむ。21分には中盤のカットからショートカウンター。MF宮永任(3年)からパスを受けたFW田海寧生(2年)がGKと1対1になるが、ここは米子北のGK長崎勇也(1年)が決死の飛び出しで得点を許さない。そして25分。「裏へのボールは狙っていこうとずっとやってきた」(小阪監督)という丸岡の形が出る。右サイドからMF馬場脩介(3年)がクロス。これを途中出場のMF川中浩夢(1年)が右足ダイレクトで合わせ先制に成功した。

 こうなると丸岡は強い。さらに強度を強めた守備で残り時間を消化し、1-0で勝利。「受け身のサッカー」といえば聞こえは悪いが、それでも勝利するところに強みがある。

 この逞しさはどこから来ているのだろうか。「県内ならボールを動かせても県外へ出たら通用しない。いろんなサッカーに対応できないと勝てないと選手たち自身が気付いたことが我慢強さにつながり、結果に結びついているのだと思います」と小阪監督は言う。

 今回で29回目の出場となる福井県の名門も、過去2年間は不出場だった。今年度は全国総体出場も逃した。その悔しさが今になって活きているという。「特に1年生には『絶対ひるむな!』と言っています。むしろこっちから当たって行けと」。その勇気が根付いているからこそ80分一貫したサッカーができる。「できすぎです」と小阪監督は謙遜するが、トーナメントでははっきりとしたサッカーをするチームが負けないという傾向があるのもまた事実だ。

(取材・文/伊藤亮)
●【特設】高校選手権2018

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