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まさかの大苦戦も…初戦5-0圧勝の大津、今度はPK制して“名将対決”へ

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PK戦を制した大津高(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権2回戦 大津高2-2(PK4-2)大分高 等々力]

 第97回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を各地で行い、等々力陸上競技場の第2試合は大津高(熊本)と大分高(大分)が対戦した。大津が2度にわたって先行し、大分も2度追いついたが、PK戦は大津が4-2で勝利。3日に行われる青森山田高(青森)との3回戦に歩みを進めた。

 1回戦を5-0の完勝で突破した大津だが、「この年代ならではの日替わりというか、良いと思っていたら次は難しいゲームになる」と平岡和徳総監督。そんな言葉どおり、主導権を握ったのは大分。MF吉岡翼(3年)のドリブルで敵陣に攻め込むと、MF山口卓己(3年)が要所でタメをつくって決定機に結びつけた。

 J1湘南内定のDF福島隼斗(3年)を擁する大津は左サイドのMF水野雄太(3年)が攻撃の中心。立ち上がりは攻めあぐねる展開が続いたものの、前半31分にようやく試合を動かした。FW大崎舜(3年)のポストプレーで深さをつくると、折り返しからMF大竹悠聖(3年)が右足シュートを突き刺した。

 1回戦でハットトリックを記録した大竹の連続ゴールで勢いに乗りたい大津だったが、前半37分には大分が同点に追いつく。中盤で前を向いたMF永松恭聖(2年)がMF菊地孔明(2年)に預けると、FW谷川海翔(3年)がつないだボールを再び永松が受け、右足シュートを豪快に叩き込んだ。

 それでも後半4分、大津はFW奥原零偉(3年)への縦パスから相手陣内に深く攻め込むと、前を向いてしかけたのはまたしても大竹。相手守備陣が密集した中を、水野とのコンビネーションでPA左に侵入すると、落ち着いた左足シュートでGK野仲龍斗(3年)の脇に流し込み、早くも今大会通算5ゴール目を挙げた。

 その後は大津がロングボールを駆使して攻勢を強めるが、平均身長で約5cm下回る大分もDF小澤和真(3年)、DF佐藤芳紀(2年)のセンターバックコンビを中心にしぶとく跳ね返す。すると徐々にボールを握る時間が長くなり、同28分、30分には山口が立て続けのキラーパスからチャンスをつくった。

 そうして後半32分、大分がついに同点に追いつく。中盤で良い距離感を保った永松、山口が大津のプレッシングをかわして前に送ると、MF重見柾斗(2年)が果敢にドリブル突破。対面でカバーに入ったU-18日本代表吉村仁志(3年)を抜き去り、ふんわりとした左足シュートでネットを揺らした。

 さらに大分は後半36分、重見がわずかなスペースを突いてスルーパスを送ると、右サイドからPA内に駆け上がった菊地のクロスがGK松村龍之介(3年)を強襲。同アディショナルタイムには。自陣で立て続けにピンチを迎えたが、DF竹谷悠(1年)が2度のブロックを見せ、規定の80分間を同点で終えた。

 PK戦は大津の先攻。水野が落ち着いて中央に決めると、その後は大竹、MF高見柊真(3年)、福島の全員が成功した。対する大分は2人目のFW工藤元太(3年)がクロスバーに当てると、4人目の永松のキックはGK松村がストップ。ここで5人目を待たずに勝負が決まり、大津が苦しみながらも3回戦進出を果たした。

「ちょっと距離感を作れなかったし、(陣形が)縦に長すぎた。もう少しコンパクトにしてショートカウンターに行きたかった。うちがやりたいことを消されてしまった」。苦戦の要因を語った平岡総監督だが、勝利後ということで表情は晴れやか。「全部できたら僕の仕事がないので、持ち帰って頑張ります」と笑顔で先を見据えた。

 3回戦は青森山田との優勝候補対決。「Jリーガーを輩出した人数では僕に叶わないが、安定したものを持っているチームですね」。この日一番の笑みを見せた平岡総監督と黒田剛監督は、ロシアW杯を一緒に観戦したほどの間柄。初戦を6-0の大差で突破したライバルに対し、苦戦を乗り越えたチャレンジ精神で襲いかかっていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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