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「これが全国か…」前回王者のレベルを肌で感じた宇和島東FW豊田湧、敗戦も「本当に楽しかった」

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突破を図る宇和島東高FW豊田湧(写真協力・高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権2回戦 前橋育英高2-0宇和島東高 駒場]

 初の選手権の舞台。相手は前回大会王者だった。0-2の完封負けを喫して“初戦”で姿を消すことになったものの、宇和島東高FW豊田湧(3年)は悔いのない表情を浮かべた。

 愛媛県予選では圧巻のプレーを見せた。初戦となった2回戦の新居浜工戦でハットトリックを達成すると、続く準々決勝大洲戦、準決勝済美戦、そして決勝八幡浜工戦でもネットを揺らす。全試合ゴール。4試合6得点で県予選得点王に輝き、「名も知られていないと思うけど、自分ができるプレーを精いっぱい出したい」と全国の舞台に向けて闘志を燃やしていた。

 組み合わせ抽選の結果、初戦となる2回戦の対戦相手は前回大会を制した前橋育英に決まった。「最初はうわーって思いましたよ。マジかって」と苦笑しつつも、「でも、決まったことなので対戦しないといけない。試合になれば同じ高校生。勝つつもりできた」と初戦のピッチへと向かった。

 背番号10を背負い、最前線に入ると持ち前の空中戦の強さを発揮するだけでなく、巧みなキープで基準点となる。前半34分にはPA外からゴールを脅かすミドルシュートを枠内に飛ばしたがGK山口瞬に阻まれてしまい、「愛媛県だと入っていたかもしれない。これが全国かと思った」と強豪校のレベルを肌で感じた。

「『やり切ろう』『走り切ろう』という気持ちで入った」。相手が王者だろうが決して怯むことはなかったが、最後まで得点は生まれずにチームも0-2の完封負けを喫した。「全国で1点も取れずにめっちゃ悔しいです」と悔しさを滲ませつつも、直後には「本当に楽しかった。観客がすごく多くて緊張もしたけど、楽しさの方が大きかった」と語り、白い歯を見せる。高校サッカー最後の試合。最高の舞台で、最高の相手と対戦して全力を尽くした男の表情は晴れやかだった。

(取材・文 折戸岳彦)

●【特設】高校選手権2018

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