beacon

南国の技術集団・那覇西は2回戦敗退…一矢報いたゴラッソFW高良は後輩に託す「この悔しさを忘れずに」

このエントリーをはてなブックマークに追加

後輩に思いを託した那覇西高FW高良竜太朗(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権2回戦 那覇西高1-6立正大淞南高 等々力]

 開幕戦という映えあるビッグマッチを制した那覇西高(沖縄)だったが、日本最南端から挑んだ“冬の祭典”は2回戦での終幕となった。「チャレンジしていることは間違っていない。次年度もこのサッカーを引き継いで、新たなチーム作りを積み重ねていきたい」。平安山良太監督はやや目を潤ませながら、それでもハッキリとした口調でこれからの決意を語った。

 終わってみれば1-6の大差。だが、繰り広げたポゼッションスタイルの練度は対戦した立正大淞南高の南健司監督の言葉からも明らかだった。「向こうは相当うまかったけどね。天然芝で、全国大会の圧力があるゲームで、こんなに動かされることはほとんどない。相当うまいなって思いました」。敵将は勝因を「決めるべきところを決め切っただけ」と述べていた。

 この日、那覇西にとって唯一のゴールを挙げたのはFW高良竜太朗(3年)。前半37分、DF東舟道尚吾(3年)のパスを受けると、コントロールされた左足ミドルで叩き込んだ。「相手に最終ラインにギャップができるのは分かっていた。いい感じで前を向けて、右から相手が来ていたので、左足で迷わず打とうと思った」。想像以上に見事なシュートだったが、心の準備はなされていた。

「打った瞬間に入ったって感覚があって、全国で1点目を取れて嬉しかった」。そう振り返った背番号9だったが、同点に追いついたチームはすぐさま勝ち越しゴールを献上すると、後半にはわずか5分足らずの間に3点を奪われた。最後は大敗となり、下級生に「スタメンで出ていた後輩も、ベンチで見ていた後輩も、この悔しさを忘れずに頑張って、全国でもっと勝ってほしい」と思いを託した。

 高良は大阪経済大に進学するが、第一線での競技生活からは退く予定。「自分たちで考えて、相手を見て判断して、目を合わせて、声をかけて、パスをつないで、そういう自分たちのサッカーが通用する部分はあった。本当に楽しかった」。そんな思い出を携えて「サッカーをするかは分からないけど、ここで負けた悔しさを何事にも力にできたら」と今後の人生を歩んでいくつもりだ。

 一方、平安山監督は「去年の3年生たちが県予選で負けて、その悔しさを引き継いだのが今のチーム。ここでも悔しさを感じるので、またこの舞台で2つ以上勝てるチームを作っていきたい」とこの敗戦を飛躍の契機とする構え。「ボールを触ることが大好きな子供達なので、そこをこれからも続けていくし、生徒たちと話し合いながら作っていきます」。沖縄県を代表する熱い技術集団は、さらに強くなってこの舞台に戻ってくる。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

TOP