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もう一人の2年生GKが見た歴史的PK戦。“鬼門”で3年連続敗退の旭川実は雪辱へ

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壮絶なPK戦に敗れた旭川実(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権2回戦 帝京長岡2-2(PK17-16)旭川実 NACK]

 高校サッカー史に残る歴史的PK戦には、もう一人の2年生GKの活躍があった。旭川実(北海道)はPK16-17で惜しくも敗戦。ゴールマウスを守ったGK小竹唯貴(2年)は一歩及ばず、「ただただ悔しいです」と率直な思いを口にした。

 2-2で迎えたPK戦は、のべ38人がキッカーを務める大会史上最長となった。後攻の旭川実は1人目が失敗したが、帝京長岡の4人目を小竹が横っ飛びでストップ。サドンデスに持ち込むと、自らも11人目のキッカーを務め、GKの逆を突いて右足でゴール右隅に突き刺した。

 2巡目に入ると、小竹は13人目のキックをタイミング良く横っ飛びしてかき出し、2本目のPKストップ。次に味方が決めれば勝利という状況に持ち込んだが、相手GK猪越優惟(2年)もストップして試合は続き、旭川実19人目のPKを止められ、2年連続の2回戦敗退が決まった。

 1986年度準々決勝に、同じく北海道勢の室蘭大谷(現・北海道大谷室蘭)がPK15-14で宇都宮学園を下したが、これを上回る最長記録。富居徹雄監督(46)は「室蘭大谷を見て、長いなあと思っていたら本当に起こるんだな」と声を落とした。チームは3年連続で“鬼門”NACK5スタジアムで敗退。会場は抽選次第だが、小竹は「次こそは勝ちたい」と雪辱を誓った。

 約30分間にも及んだ死闘は、両選手がPK成功後に足をつる姿も見られた。17人目のキッカーを務めた旭川実FW谷口明典(3年)が足をつると、試合は一時中断し、担架でピッチ外に運び出された。その間、ゴール付近では相手GK、審判と3人で「寒いっすね」と言葉をかわす余裕もあり、オンオフを切り替えて2年生GK同士の真剣勝負を楽しんだ。

 序盤から決定的なシュートを立て続けにセーブしてチームを救い、守備から先制点を呼び込んだ小竹。前半29分、31分には連続で失点したが、「1、2失点目はどちらも自分の手に当たっていた。最後に伸びきれるか、当てきれるかという部分をしっかりやりたい」と意欲。一回り成長してこの舞台に帰ってくるつもりだ。

(取材・文 佐藤亜希子)

●【特設】高校選手権2018

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