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徳島市立FW岡健太の“衝撃”。高速ドリブルで流経大柏DF切り裂き、先制ゴール!

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後半16分、徳島市立高FW岡健太が右足で先制ゴール

[1.2 選手権2回戦 徳島市立高 1-2 流通経済大柏高 フクアリ]

 この日、フクダ電子アリーナは地元・千葉代表の流通経済大柏高の逆転勝ちに沸いた。だが、会場を最も沸かせた選手は、後半から登場した徳島市立高の高速アタッカーFW岡健太(3年)だった。

 投入直後から50m走5秒9の快足を垣間見せていたが、後半16分にその威力が“ホンモノ”であることを証明する。自陣から右オープンスペースへと蹴り出されたボールにスピードを活かして追いついた岡は、対応した1人目のDFの背中を取って内側に切れ込む。さらにカバーに来たDFの股抜きにチャレンジ。これはDFの足にボールが当たったものの、前方にこぼれたボールにいち早く追いつき、右足シュートをゴールに突き刺した。

 それまで、チームのシュートは前半の1本と、岡が投入後の後半6分に放った2本のみ。けが人が多く苦しい陣容だった徳島市立だが、それでも我慢強い守備でV候補の流通経済大柏高に食い下がっていた。そして、河野博幸監督も「あれは狙っていた」という先制ゴール。圧巻のプレーに会場は大いに盛り上がった。岡は“独特すぎる”口調で報道陣を笑わせながら、このシーンについて振り返る。

「前を向いたら、相手が3枚やったけん、これやったら行けるんちゃうん? と思って、蹴って走ったら、1人抜けたけん、これは絶対行けるわと思って、また一人、足を出してきたけん、股を行けると思って(通したら)また抜けて、ちょっとボールが遠くなった。相手にスライディングされるかもしれんと思ったし、ボールに近付いて踏み込んだら終わりと思って、GKが少し前めにいたので、足を伸ばしてトゥーキック気味に蹴ったら、良い感じに行ってくれた」

 ただし、勝ち切れなかったことを残念がる。岡は負傷明けだったことで同じく負傷明けのFW玉川樹(3年)と40分間ずつのプレー。守備面で奮闘し0-0で帰ってきた玉川やチームメートのためにもゴールを奪うことを考えていた。だが、先制後も流経大柏DFを切り裂くようなスピードで会場を沸かせながら2点目を奪うことはできず。「ごめんな、みたいな感じ。決めきれなかった僕に課題が残ります」と首を振っていた。

 それでもインパクトは十分だった。岡は東福岡高や清水ユースという強豪との対外試合でも圧巻のスピードを発揮し、DFを振り切っていたのだという。この日の対戦相手は鹿島内定CB関川郁万(3年)擁する流経大柏。注目DFのいる流経大柏DF陣を「ちぎって終わろうと。それしか考えていなくて」とピッチに立った岡は、その快足を見せつけた。

 マンマークをつけてきた流経大柏を「ちぎって」突進。堅守・流経大柏の前に、その後はシュートまで持ち込ませてもらえなかったが、流経大柏の名将・本田裕一郎監督が「本当に怪我しているの?」と試合直後に徳島市立サイドへ確認、そして取材を受けている最中にも称賛の言葉を発していたほどのスピードだった。“阿波のスピードキング”。初戦敗退に終わったものの、圧巻のスピードを持つ高速アタッカーは少なくない衝撃を残して選手権を終えた。

(取材・文 吉田太郎)

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