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相棒が試合中に骨折…奮闘した星稜MF有馬は卒業後に渡米へ「大きなチャレンジ」

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高い左足の技術を見せた星稜高MF有馬大勢(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.3 選手権3回戦 星稜高0-1流通経済大柏高 フクアリ]

 星稜高はチームリーダーが前半終了間際に負傷退場。誇り高き腕章を受け継いだのは副キャプテンのMF有馬大勢(3年)だった。不慣れな最前線のポジションで奮闘したものの、望みをつなぐ1点は遠く、チームは3回戦敗退。「キャプテンマークは重かった。もう一回、巻かせてあげたかった」と肩を落とした。

 流通経済大柏高戦の前半終了間際、星稜FW岩岸宗志(3年)にまさかのアクシデントが襲った。敵陣深くでボールを持ったDF関川郁万(3年)に猛然とプレスをかけたものの、ターンでかわされた際に芝生に足を取られて転倒。足首と肩を押さえ、苦悶の表情を浮かべたまま起き上がれなくなった。

 河崎護監督が明かしたところによると、左足首骨折と右肩脱臼の大怪我。現場での治療の余地はなく、そのまま負傷交代となった。担架で運ばれた岩岸に対し、歩み寄った有馬はキャプテンマークを受け取り、1点ビハインドという窮地から救う挑戦をスタートさせた。

「キャプテンと副キャプテンという立場で話していて、ライバルであり、コミュニケーションを取れる仲だった。普段から林(GK林海渡)との3人でチームがどうしたら変わるかを話していたし、怪我していなくなった時はポカーンと穴が開いてしまった」(有馬)。その不在を自らの力で埋める必要があった。

 右サイドハーフからポジションを一列上げ、「やったことがなかった」という最前線のポジションに立った有馬。動き出しには苦労したというが、ボールが入った時にはさすがのキープを見せた。後半26分には、ワンツーの形からFW西部悠大(3年)に決定的なラストパスを送るなど、最大のビッグチャンスも導いた。

 だが、最後までスコアが動くことはなかった。「1点取らないといけないと話していたけど、前に前にというのがダメだった。冷静にやっていれば結果は変わっていたかもしれないけど、落ち着かせられず心残り」。そう悔やんだ背番号9は試合後、岩岸に「ごめん」と準々決勝に進めなかったことを謝罪した。

 岩岸はこれに「ありがとう」と答えたという。「結果が出ていないのにそう言ってくれてうれしかった」。高校生活最終戦で友との絆を再確認した有馬は卒業後、アメリカに渡って学生サッカーを続ける予定。「星稜に来るのも大きなチャレンジだったし、大きなチャレンジを常にしていく」という決断だった。

 まだ進学先のカレッジは決まっていないが、4年生大学への編入も含め、キャリアプランは定まっている様子。「1、2年では結果が出せずに悔しい思いをしてきて、3年でもベスト16で終わって悔しい気持ち。親にも3年間支えてもらって心残りはあるけど、やり切ったと思う」。新たなステージにも果敢に挑み、飛躍の時を迎えるつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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