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プロ入り前に“移籍”を経験、長崎総科大附MF鈴木冬一の選手権が幕を閉じる「あのとき決断をした自分に…」

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ゲームキャプテンを務めた長崎総合科学大附高MF鈴木冬一(3年=湘南内定)

[1.3 選手権3回戦 帝京長岡高2-1長崎総科大附高 浦和駒場]

 最初で最後の選手権は3回戦で幕を閉じた。長崎総合科学大附高(長崎)のMF鈴木冬一(3年=湘南内定)は帝京長岡高(新潟)戦で前半20分に先制ゴールを決めたが、チームは1-2で逆転負け。試合後には「全然後悔はないです」とすっきりとした表情で語った。

 鈴木は昨年度までセレッソ大阪の下部組織に所属。U-17W杯メンバーなど年代別の日本代表に名を連ね、C大阪U-18時代の2017年には2種登録選手としてC大阪U-23でJ3デビューを果たした。しかし、2018年3月にクラブを退団。「成長したい」という思いで長崎総科大附への転入を決意した。

 最大の理由は「小嶺(忠敏)先生がいたから」。メンタルやフィジカル、そして人間力の部分でも成長を求め、長崎総合科学大附の門を叩いた。日本一を目標に初めて臨んだ今大会はゲームキャプテンを務め、この試合では長距離のドリブルから左足で初得点をマーク。だが、そこからチームは逆転を許し、恩師に優勝を届けることは叶わなかった。

「終わった瞬間は悔しいという思いがいっぱいでした。終わってしまったなという感じだったんですけど、この1年間小嶺先生の下でやらせていただいて、得たものは今後のプロサッカー人生において役に立つと思います。負けてしまったんですけど、今日はみんな一人ひとりが全力でやっていて楽しかったですし、本当にそれが一番良かったと思います。全然後悔はないです」

 試合後、グラウンド内では味方選手を励ますなど堂々と振る舞っていた鈴木。それでもロッカールームに戻って小嶺監督の顔を見ると、涙があふれ出てきたという。「成長したいという思いで決断をして、選んだ理由は小嶺先生がいたっていうことなので、小嶺先生には最大の感謝の気持ちがあります」。

 小嶺監督から直接言葉はかけられなかったようだが、指揮官は報道陣に対するコメントで鈴木の練習に向かう姿勢やプレーの質を高く評価。下級生の良いお手本になると話し、「あんな選手は三浦淳宏くらい」と元日本代表MFの大先輩OBを例にプロでの活躍に太鼓判を押した。

 C大阪で将来を期待された中での“電撃移籍”からまもなく1年。「本当に来て良かったと思いますね。そしてあのとき決断をした自分に『いい決断をしたぞ』と言いたいです」。2019年シーズンから湘南ベルマーレへの加入が内定。あのときの決断が正しかったことをプロの舞台で証明する。

(取材・文 阿部哲也)
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