beacon

連覇逃した前橋育英のゲーム主将MF秋山「11人以外の選手を埼スタに連れて行けなかったのは本当に悔しい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

前橋育英高MF秋山裕紀(左)が相手と中盤で競り合う

[1.3 選手権3回戦 前橋育英高 1-2 尚志高 浦和駒場]

「2点目が大きかった」。前橋育英高の山田耕介監督がそう口にすれば、この日ゲーム主将を務めたMF秋山裕紀(3年)も2失点したことで「チームとして焦ってしまった。(攻撃陣を信頼していたが)2失点目が早すぎたので申し訳ない気持ちでいっぱいです」と悔しさを滲ませていた。

 後半9分に直接FKで先制点を許した前橋育英はそのわずか2分後にサイドを突破され、連続失点してしまう。2点差にされたことで受けた心理的なダメージは少なくなかった。相手は試合巧者の尚志高。秋山を中心にボールを支配して反撃したが、消されたスペースをこじ開けようとして跳ね返される時間帯が続いた。

 31分には右サイドからのコンビネーションで相手の守りを攻略。秋山のスルーパスで抜け出したMF高橋尚紀(3年)が追撃ゴールを決めた。だが、その後はなかなかシュート数を増やすことができないまま試合終了。前回王者は3回戦で姿を消した。

 チームとしては連覇への挑戦。だが、前回大会で優勝したのは先輩たちと捉え、自分たちにとっての“初優勝”を目指してきた。だが、どうしても耳に入ってくる「連覇」という言葉。FW榎本樹(3年)は「そこが心に引っかかって硬い試合になってしまったと思います」と指摘する。

 また、秋山は「2連覇という目線でずっと育英高校は見られていたと思う。群馬県予選を勝ち抜くだけでも凄くプレッシャーが選手にも、スタッフにも凄いプレッシャーがあった中で、ようやく勝ち取った全国舞台だったんですけれども、そのプレッシャーに負けてしまったのは自分たちの実力が無かったと思います」と自分たちの力不足を認めた。

 エース番号「14」を背負って戦ってきた秋山は、「素晴らしい選手が育英高校に来ている中で選ばれた11人がピッチに立って、11人以外の選手を埼スタに連れて行けなかったのは本当に悔しいですし、申し訳ない気持ちでいっぱい。(14番として)この1年間チームに迷惑をかけてきたことばかりだったので、最後の選手権の舞台で恩返ししようという気持ちでいたんですけれども、結果が出なくて、チームに対して申し訳ないっていう一言に尽きると思います」と唇を噛んだ。

 涙の終戦。連覇の重圧と戦ってきた選手たちは今後、新たなステージで目標に挑戦する。新潟からプロ入りする秋山は「この悔しさを忘れずに今後に活かしていきたい」。3年間一緒に競争し、ピッチ外から応援してくれた仲間たちの分もプロの世界で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2018

TOP