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エースはハンドボール投げ40m強の“強肩”。流経大柏MF熊澤はロングスローで決勝点演出

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流通経済大柏高MF熊澤和希はロングスローで決勝点を演出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.5 選手権準々決勝 秋田商高 0-1 流通経済大柏高 フクアリ]

 流通経済大柏高の10番MF熊澤和希(3年)は初戦の2ゴール後、「ここ2試合は余裕を持ってできていない。ところどころミスしたり、大事なところでパスを出せない」。この日も思うようにボールを収めることができず、攻撃に流れを持ってくることができなかった

 本田裕一郎監督はチームの気になるポイントとして「攻撃のところ。奪ったあとの繋ぎ方。繋げない子たちじゃないんだけれど。もう少しショートパスを繋ぎたい」と語っていた。そのためには左MFの熊澤がよりボールを引き出し、キープして起点になることも必要。この日はチーム全体的に、1本繋げる場面でクリアになっていたことが多かった。熊澤はその点の改善をすることも誓っていた。

 思うようなプレーができなかったが、先制点の起点となったのは熊澤だった。前半6分、彼の左ロングスローからFW岡本竜(3年)がヘディングシュート。クリアボールをMF八木滉史(2年)が押し込み、先制点を挙げた。

 熊澤はこの後も両サイドからロングスローを連発。ファーサイドまで到達するほどの飛距離で相手にプレッシャーを掛け続けた。この日は足でクロスボールを上げるよりもロングスローの方が感覚が良かったため、相手のクリアをあえて拾わずにスローインを選択するシーンも。ロングスローに対し、秋田商高GKが飛び出してくることを確認すると、後半からはライナー性のものやバウンドさせたスローインを投じるなど、投げ分けてチャンスに繋げようとしていた。

 熊澤が主にロングスローを投じるようになったのは最上級生になってから。細身で「筋肉はマジでないです」と笑う熊澤だが、飛距離はどんどん伸びている印象だ。実は下級生時に行われた体力テストのハンドボール投げで約42mを記録(一般的に20m台が多いと言われる)し、「学校で1位だったと思います」というほどの“強肩”の持ち主。トレーナーにも指摘されるという上体の柔らかさとリーチの長さが活きているのか、彼の飛距離十分のロングスローは間違いなくチームの大きな武器になっている。

 準決勝、決勝で意識することはどんな形でも得点に絡み、勝利に貢献すること。そのためにはロングスローもチャンスに結びつける考えだ。まずは一週間の準備期間でこの日不十分だった攻撃の組み立て、精度を改善して準決勝を突破する。

(取材・文 吉田太郎)

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