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伝家のロングスロー炸裂!!青森山田の全2点演出したDF澤田貴史「自分は蝋燭、周りを照らす」

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DF澤田貴史(3年)がロングスローから2点を演出した(写真協力『高校サッカー年鑑』) 

[1.5 選手権準々決勝 青森山田高2-1矢板中央高 等々力]

 ロングスローが投げ入れられる度に、スタジアムが沸いた。DF澤田貴史(3年)が青森山田高(青森)の全2得点を演出。「ロングスローからまだ1点も取れていなかったので、少しでもチームの役に立てたらいいなと思っていた」。チームは矢板中央高(栃木)の鉄壁守備に苦しんだが、“飛び道具”からゴールをこじ開けた。

 まずは前半40分、右サイドからロングスローを放り込むと、こぼれ球に反応したMF武田英寿(2年)のシュートをDF二階堂正哉(3年)がフリックし、同点ゴール。「相手がケネ(三國ケネディエブス)を警戒していたので、ケネをおとりに使おうと話していた」(澤田)。後半26分にも左サイドからロングスローを入れた流れから、二階堂の逆転ゴールを演出した。

 高校1年生の練習中にボールを投げた際、いきなり飛距離が出たことで、スローイン役を担うことが決まった。「センスでやっている」と笑った澤田には哲学もある。「ロングスローは筋力じゃない。腰の使い方、柔軟性、肩甲骨周りの柔らかさを日頃しっかりやっていた」。日頃から肩のケアも怠らず、武器に磨きをかけている。

 昨年1月に右膝靭帯の手術を行った。長期離脱となり、復帰したのは6月。リハビリ期間を乗り越え、選手権の舞台に間に合った。「葛藤はあったけど、強い気持ちで自分を信じてやってきて、ここに来れたので良かった」。タレント集団の中でボランチを務める澤田は自身の役割をこう捉えている。

「自分は蝋燭だと思っている。蝋燭は自分が犠牲になって周りを照らす。それと同じで、自分が守備で犠牲になりながら、周りの選手を輝かせる。タレントをうまくまとめて犠牲になって周りを照らすということをモットーに試合に入っています」

 2年前、優勝の瞬間はスタンドから見守った。激戦ブロックを勝ち上がり、頂点まであと2勝。埼玉スタジアムで行われる12日の準決勝では尚志高(福島)と対戦する。澤田は「サッカーを楽しんで、チームでやることを徹底する。一戦一戦しっかり戦って優勝したいです」と頂点を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)

●【特設】高校選手権2018

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