beacon

[MOM2797]瀬戸内MF吉田寛太(3年)_決勝ヘッド!サンフの仲間たちが輝いた場所へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半37分、瀬戸内高MF吉田寛太が決勝ヘッド。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 選手権準々決勝 瀬戸内高 1-0 日本航空高 フクアリ]

 怪我を乗り越えて「復活」したMFが、自らのゴールで憧れの「埼スタ」でプレーする権利を掴んだ。0-0で迎えた前半37分、瀬戸内高はMF川岸怜央(3年)が上げた左クロスにMF吉田寛太(3年)が走り込む。そして、「上がってくるなと思って信じて走ったら、ボールが来て触るだけだったので良かったですね」というヘディングシュート。値千金の一撃をゴールネットに突き刺した。

 この日、瀬戸内の選手たちは日本航空高からマンツーマンマークを受けていた。「ずっと付きまとわれていてホンマに嫌だったんですけれども、ずっとこれまで(練習で)走ってきたので、それを活かすしかないなと思って走りまくりました」と吉田。マンマークする相手を上回るくらいに走ること、そして前に出ていくことを意識していたMFがマークを振り切ってゴール前に飛び込み、見事な決勝ゴールを決めた。

 この後も吉田は中盤中央での鮮やかなドリブル突破や、スペースへのパス。技術の高さを随所で見せ続けていた。1年時の新人戦中国大会で活躍するなど期待されてきたプレーメーカー。だが、3年生になって迎えたインターハイ予選で右足首を負傷し、全国大会メンバーからも外れた。キーマンの一人を失ったチームは全国初戦敗退。だが、チームがよりポゼッションスタイルにシフトする中、リハビリを続けてきた吉田は先発復帰した選手権広島県予選準決勝でゴールを決める。そして同決勝で決勝ゴールを決めてチームに初の選手権出場をもたらした。

 埼玉スタジアムで行われる全国準決勝進出を懸けたこの日の試合でもゴール。安藤正晴監督は「こういう大きな舞台で仕事をしてくれたので、本当に良く頑張ったなと思います。良くここまで戻ってきてくれた」と讃えていた。

 サンフレッチェ広島ジュニアユース出身の吉田にとって埼玉スタジアムは、中学3年時に日本代表戦を観戦するために訪れたことのある憧れの地。その会場でプレーする権利を得たMFは「(3年前)とても広くて感動したので、そこでできるのは嬉しいです」と微笑む。

 その埼玉スタジアムは、約3週間前の12月15日に開催された高円宮杯プレミアリーグファイナルでサンフレッチェ広島ユースが優勝した舞台でもある。中学時代にともにプレーした選手たちが、埼スタで「高校年代真の日本一」に。「(日本代表の森保一監督を父に持つ)森保陸とか、桂陸人とか、大堀亮之介とか中学校一緒だった人に『おめでとう』とLINEしました」という吉田が今度はその舞台に立つことになった。

 森保らから「頑張れよ」とエールを受ける中、自分も「埼スタ」を目指してきた吉田は、怪我の期間に支えてくれた仲間や家族、恩師たちへの感謝も込めて準決勝でプレーし、勝利する意気込みだ。中学時代は怪我が多く、体力も無かったためにユース昇格を見送られた。その課題を克服するために瀬戸内で体力を強化し、全国で躍動しているMFが「自分も」埼玉スタジアムで輝く。

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2018

TOP