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決勝弾の裏には“強気な姿勢”…堂安律、悪夢のパスミスも「謝る気はさらさらなかった」

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決勝ゴールを叩き込んだ日本代表MF堂安律(フローニンゲン)

[1.9 アジア杯F組第1節 日本3-2トルクメニスタン アブダビ]

 悪夢の幕開けとなった一本のパスミス。だが、決して下を向くことなく、決勝点という結果で取り返してみせた。日本代表MF堂安律(フローニンゲン)は「僕が取られたところから失点したけど、ハーフタイムに謝る気はさらさらなかった。試合中に取り返すことだけを考えていた」と強気に振り返った。

 格下と言えるトルクメニスタンとのアジアカップ初戦、日本は前半26分、ミドルシュートから先制点を献上した。失点の起点となるボールロストを犯したのは堂安。やや後方への横パスが相手にカットされ、そのままシュートに持ち込まれた。堂安自身も「僕が取られて失点した」と責任を認識していた。

 だが、ここからがスタープレーヤーへの階段を駆け上がろうとする20歳の本領だった。下を向くことなくハーフタイムを迎えると、まずは周囲からのアドバイスに集中した。「宏樹くんは『サイドチェンジを見たら』と言ってくれて、乾くんは『もっと幅を使おう』と声をかけてくれた」(堂安)。

 そんな前向きなメンタリティーが後半26分、得点という結果を導いた。自身のスプリントで相手を押し込むと、FW大迫勇也のボール奪取から決定機が生まれ、MF南野拓実のパスを受け直して左足を一閃。「左足のパンチ力はあるので受けた瞬間に打つことは決めていた」。最後に違いを作ったのも強気な姿勢だった。

 日本代表にとってはアジア杯での史上最年少得点。ただ、歴史に名を刻んだ男は「携帯で見て知った。意識はしていなかった」と冷静だ。「レジェンド選手の引退が続いているけど、受け継ぎたいという覚悟は持っている。そういう意味では初ゴールを取れて良かった」。胸に留めているのは今後の日本代表を背負っていくという覚悟だ。

 チームにとっては大いに課題の残る一戦だった。堂安自身もファーストタッチの後のプレー、チームの距離感、攻守の切り替えと課題は次々に指摘した。しかし、まだグループリーグが始まったばかり。これから取り戻すチャンスはある。「初戦に苦しんで良かったし、これから自分の実力がこんなもんじゃないと証明したい」(堂安)。強気なプレーで日本を救った男は後ろを振り返らず、次の試合に挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)

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